タイは東南アジアに位置する国ですが、経済も良好に成長しています。
そんなタイの経済成長推移や状況、今後の見通しはどうなっているのでしょうか。また、特徴や課題は何でしょうか。
簡単にわかりやすく説明します。
タイ経済の成長率推移
IMFによると、タイ経済の成長率推移はこの通りです。
また、過去5年の成長率は以下の通りになっています。
年 | 成長率 |
---|---|
2017 | 4.18 |
2018 | 4.19 |
2019 | 2.27 |
2020 | -6.09 |
2021 | 2.56 |
タイ経済の状況と今後の見通し
タイ経済の現状
タイ中央銀行の2021年4月に発表によると、新型コロナウイルスの不況からタイ経済は徐々に回復傾向にあるといいます。
ポイントは以下の3つです。
- 個人消費の改善
- 金を除く輸出は大幅に増加
- 民間投資の拡大
個人消費が徐々に回復したことに加えて、世界経済が回復傾向にあることを受けてタイの輸出も拡大しました。特に自動車やコンピューター、化学製品などの分野の受注が増えました。
また、民間投資は機械や設備分野などを中心にして拡大が続いています。
タイ経済の課題
タイ経済の課題には以下のようなものがあります。
- 中進国の罠
- 輸出依存度が高い
- 不安定な内政
- 労働力不足
中進国の罠
タイは低賃金で労働者を働かせて経済成長しましたが、人件費の向上や後進国の追い上げなどで経済が停滞してしまう、中進国の罠に陥っています。
この中進国の罠を脱することがひとつ目の課題です。
輸出依存度が高い
タイ経済はGDPの7割が輸出を占めており、輸出依存度が高いです。そのため、世界経済の景気でタイ経済も左右されやすいのです。
また、中国経済の鈍化によりマレーシアやベトナムといったASEAN諸国と貿易を拡大してチャイナリスクを避けなければならないという課題が存在します。
不安定な内政
タイでは軍事クーデターが多発します。それに伴って大規模なデモも発生します。
ただし、三菱UFJリサーチ&コンサルティングのレポートによると、タイのクーデターは経済活動に影響を与えないとされています。
実害はなくても不安定さがあることは認識すべきでしょう。
労働力不足
タイはASEANの中でもいち早く高齢化が進んでおり、若い労働力が不足しています。
この人口動態を見て、諸外国が他のASEAN諸国に進出した方が魅力に感じてしまう可能性も指摘されています。
タイ経済の将来性
タイ経済は2015年に20年間の経済政策とビジョンを制定する「タイランド4.0」を発表しています。
2036年までに一人当たりのGDPを13,000ドルまで引き上げて高所得国の仲間入りを目指しています。この目標を達成するために、タイ政府は以下の分野に力を入れています。
- 世代自動車
- スマートエレクトロニクス
- 医療・健康ツーリズム
- 農業・バイオテクノロジー
- 未来食品
- ロボット産業
- 航空・ロジスティック
- バイオ燃料・バイオ科学
- デジタル産業 ・医療ハブ
また、これに加えてデジタル立国を目指す「タイ・デジタル経済社会開発20ヵ年計画」を掲げています。
そして、チョンブリ県・ラヨーン県・チャチュンサオ県を経済特区に制定して、これらの地域の投資に対して8年間の法人税免除、それ以降5年間の法人税50%免除という優遇処置を行い知識集約型の労働に転身して、中進国の罠を脱そうとしています。
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タイ経済の特徴
タイ経済には以下のような特徴があります。
- 輸出大国
- 農業関係者が多い
- 製造業がGDPを牽引している
輸出がGDP7割を占める以外に、タイでは就業者の40%が農業関係者です。しかし、農業のGDPに占める割合はわずか12%程度に止まります。
一方で製造業は就業者の15%程度ですが、GDPの34%程度を占めており輸出額の90%ほどを占めます。
タイ経済の成長・発展の歴史
タイ経済の歴史
タイの経済発展に関する歴史の簡単な年表は以下の通りです。
- 1980年代:日系企業進出を機に急成長
- 1992年:カンボジア和平でタイの市場拡大
- 1997年:アジア通貨危機でマイナス成長
- 2001年:タクシノミクスでV字回復
- 2008年:リーマンショックで景気後退
- 2020年:新型コロナウイルスでマイナス成長
基本的にプラス成長をしていますが、世界的な経済危機に瀕したときタイもダメージを受けました。
タイ経済はなぜ発展したか
タイ経済が発展した理由に関していくつかの議論がされています。
- IMFや世界銀行の改革路線に従い、経済自由主義路線を採用
- 2001年に成立したタクシン政権が景気刺激策を行った
- 金融当局が適切なマクロ経済運営を行った
その中でも有力とされているのは、タイの金融当局が2000年以降に物価上昇率に一定の目標に掲げて、通貨量の調節して緩やかなインフレに誘導して安定した経済成長を目指すインフレ・ターゲット政策を行ったからです。
タイの自動車産業
日系メーカーの進出がきっかけ
タイの自動車産業は、1960年代に日系の自動車メーカーが続々と参入したことで発展しました。
最初に参入したのは1957年のトヨタ自動車でした。その後、続々と日系自動車メーカーが参入して生産台数が増えますが、アジア通貨危機やリーマンショックなどで少し落ち込みます。
しかし、2014年のデータではタイ国内の自動車シェアは日系メーカーが8割を占めています。
自動車産業がもたらしたもの
タイでは国産ブランドの自動車を生み出すのではなく、海外ブランドを受け入れる形で自動車産業を育成するようにした結果、日系メーカーが進出しました。それで人材や日本メーカー水準の部品が作れるローカルメーカーの育成も可能になりました。
一方で日本メーカーにとって、1960年代から進出して人材育成やサプライヤーシステム構築に多くの資本を投じてきたのでタイは重要な拠点でした。
そして、輸出の拠点にして高い自動車の生産能力を維持しようという思惑があり、輸出の増加につながりました。
なぜ日本企業がタイに進出する理由
日系企業がタイに進出するメリットには以下のようなものがあります。
- 東安アジアのハブとなる
- 日本ブランドが人気である
- 労働力が安い
東南アジアに簡単にアクセスできるハブであり、日本の製品や食品の人気もあります。そのため、現地に浸透しやすいのです。
また、日本に比べて安価なコストで質の良い労働力があるのも魅力です。
まとめ
今回はタイの経済についてご紹介しました。
自動車産業が栄えており、タイ経済は輸出中心です。
ぜひ、この記事を参考にしてみてください。
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