日々新しいニュースがあって、ついていくのも大変です。
特に最近QUAD(日米豪印4カ国戦略対話)という単語がテレビから聞こえてきて、何だろうと思った経験はありませんか?
そこで今回はQUADについて簡単にわかりやすく解説します。
QUADとは|参加国
QUADとは、以下の4カ国の国々からなる国際的な外交・安全保障の協力枠組みです。
- 日本
- 米国
- オーストラリア
- インド
中国をけん制するために生まれました。
QUADの成り立ちと目的
QUADの歴史は2006年にさかのぼり、日本の提案でこの枠組みが生まれました。
日本が作った国際秩序の枠組みとして日本人はもっと知っておかなければなりません。
当時の安倍総理が日本、米国、オーストラリア、インドを巻き込んで戦略対話を訴えました。当時はまだ中国より日本の方がGDPが上回っていましたが、米国の国力が落ち中国が経済大国になり、インドも独自の大国としての力を強めることが予測されていました。
もしそうなってパワーバランスが変化した時に、今の平和的な秩序を壊さないようにするために生まれたのがQUADです。
それから民主党政権などを挟み、QUADが本格的に国際社会で登場するのは第二次安倍政権においてです。
2017年に局長級の会合、それから2019年に外相会談、2021年にオンラインで首脳会談を開きます。段々と対話のレベルを上げ、リーダー格の人材にしていきます。
そして、米国の関心も中東からアジア、特に中国に移り、対中国を念頭に置いたQUADに関心を示すことになりました。
QUADと韓国
QUADに将来、韓国が参加すると言われています。しかし、確定ではありません。
米国の立場は現在「考えていない」です。
一方の韓国は2022年に発足したユン政権になって前向きに検討しています。
以前のムン政権は米国にべったりではないスタンスで、「軍事は米国、経済は中国」という方針でしたが、ユン政権になってから親米路線になったのもひとつの要因です。
これには、米国側についた方が韓国の国益になるという見方がユン政権内でなされているからです。
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しかし、韓国が政権交代でまたQUADから距離を取る可能性もあります。
もし韓国が入るならば、QUADプラスという形で、4カ国の枠組みは残してそれに付随した国々という枠組みになるでしょう。
韓国の代わりにイギリス(英国)が参加?
2021年に囁かれていたのは、クアッドに積極的ではない韓国に変わってイギリスが参加することでした。
イギリスはD10と呼ばれる民主主義国家が集まる枠組みを提唱しており、その構成国はG7と韓国、インド、オーストラリアでした。
なぜイギリスが急にアジアの枠組みに関して関心を示したのかというと、いくつかの理由があります。
- イギリスの植民地であった香港情勢の変化
- ブレクジットによるイギリスの影響力低下
2019年ごろから中国の香港で一国二制度を揺るがす事件がたくさん起こります。
香港の未来について約束をしたのは、中国とイギリスでした。
香港が中国の思うままになると、イギリスはメンツを失います。
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また、イギリスは2016年にEUから離脱することを決め、ヨーロッパでの存在感がドイツやフランスに比べて低下しました。
そこで新たな存在感を示すためにアジアへと関心を向け始めたのです。
イギリスは今後もアジアに関心を向けることになるでしょう。
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台湾の参加もあり得る?
台湾は2022年に米国に対して、QUADに入りたいという意思を伝えています。
その理由は、もちろん対中国を意識してです。
しかし、台湾のQUAD参加は中国を過度に刺激することには変わりないので、慎重になるでしょう。
QUADの課題はインド
QUADの課題はインドです。
インドは伝統的に中立国として同盟に属さないできました。また、日本やアメリカと敵対するロシアや中国とも中立的であまり敵対する態度を取りません。
こうした考え方のインドをいかに取り込んでいくかがQUADの課題です。
インドはQUADに軍事的協力ではなく、どちらかと言えば経済的な協力を求めています。
また、中国との国境紛争、新型コロナウイルスの薬の原料を中国に依存するなど、中国と距離を置きたいという意思もあります。
こうした感情をうまく使って自由主義陣営に巻き込むべきです。
QUADとAUKUS(オーカス)とFIVE EYESの違い
QUADとAUKUSとFIVE EYESの違いは以下の通りです。
名称 | QUAD | AUKUS | FIVE EYES |
---|---|---|---|
参加国 | 日本 米国 インド オーストラリア |
米国 英国 オーストラリア |
米国 英国 オーストラリア ニュージーランド カナダ |
目的 | 経済・安全保障の枠組み | 軍事的な枠組み | 機密情報共有の枠組み |
QUADは経済や安全保障など比較的幅広いですが、AUKUSは軍事的な意味合いが強いです。
そして、 FIVE EYESはアングロサクソン民族を中心とした情報共有の枠組みです。
ちなみに、日本がFIVE EYESに入るという話がありますが、日本は情報の管理の制度が不十分なので入れません。
まとめ
今回はQUADに関してご説明しました。
日本の提案で出来上がった、経済・安全保障の枠組みです。
韓国や英国の動向も気になりますね。
ぜひ、参考にしてみてください。
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