改革開放政策とは?目玉の経済特区と一緒に簡単にわかりやすく説明

改革開放政策は鄧小平(とうしょうへい)が行った経済政策です。

経済特区の設置や海外資本の導入などを行いましたが、これはどういったことなのでしょうか。

今回はその改革開放政策について簡単にわかりやすくご説明します。

改革開放政策とは?簡単にわかりやすく説明

改革開放とは、工業、農業、科学技術、国防の近代化を目指して鄧小平が1978年に行った経済政策です。内容は以下の3つです。

  • 人民公社の解体
  • 社会主義市場経済
  • 経済特区の制定

順番に見てみましょう。

人民公社の解体

改革開放政策を行う前の中国には人民公社が存在しました。

  • 人民公社:農業生産合作社と地方行政機関を一体化した組織

人民公社は農業生産合作社と地方行政機関を一体化した組織で、農業を中心に政治や経済など全てを管理していました。

わかりやすく極端に言えば、「農村の何でも屋」ですが、このおかげで農村部は大きな負担を抱えてしまい、思うように農業生産力は向上しませんでした。

鄧小平はうまく機能していなかった人民公社を1982年に解体させて、生産責任制を導入します。これはたとえば、農作物がたくさん取れたら余った農作物を販売してもいいという制度です。

このおかげで農家は働くモチベーションを維持して、農作物の収穫量は増加します。

社会主義市場経済

社会主義市場経済は社会主義と市場経済のふたつを両立することです。

経済は市場経済と同じで、需要と供給のバランスで商品の価格が決まります。

また、改革開放を実行した鄧小平は「豊かになれる者から豊かになり、富裕層が貧困層を助けるべき」という先富論(せんぷろん)を唱えました。

 

一方で政治体制は社会主義を維持して、中国共産党の独裁体制が続くというものです。そのため、政治の民主化や自由化は許されないままでした。

改革開放政策後に経済に続いて自由な政治を求める声が上がってデモが起こりますが、鎮圧されます。これが天安門事件です。

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経済特区の制定

鄧小平は5つの経済特区を設置して外国資本を呼び込みました。経済特区の狙いは以下の通りです。

  • 外国企業の輸出入関税免除
  • 所得税の3年間据え置き

また、中国の安い労働力と工場建設の土地代が安いことを強みに、台湾資本や香港資本をうまく取り込みました。

経済特区となった場所は以下の通りです。

  • 厦門:あもい(福建省)
  • 汕頭:すわとう(広東省)
  • 深圳:しんせん(広東省)
  • 珠海:しゅかい(広東省)
  • 海南島:かいなんとう(海南省)

世界史などでは、北から順番に呼んで「明日はシチュー会(あすはしちゅーかい)」と覚えるのが定番です。

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改革開放政策を行った経緯と結果

改革開放政策を行った経緯

鄧小平が改革開放を行う前の中国は毛沢東が指導する社会主義経済国でした。しかし、毛沢東をトップにした国造りは上手くいきませんでした。

大躍進政策で工業化を推し進めるも、やり方が上手くなくて大飢饉となりました。

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また、その失敗を補うために毛沢東が起こした文化大革命で中国経済は大変なことになっていました。

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これを見た鄧小平は、「社会主義では上手くいかないから資本主義で国を発展させよう」と考えて改革開放を行ったのです。ちなみに、このときに「黒猫であれ白猫であれ、鼠を捕るのが良い猫である」という名言を残しています。

改革開放政策を行った結果

改革開放政策は大成功しました。今日の中国が大成功を納めているのも、鄧小平が行った改革開放政策のおかげです。

改革開放直後の中国の一人当たりのGDPは313ドルですが、2015年にはおよそ8100ドルまで成長しています。

2018年には改革開放政策開始から40周年を祝う式典が行われました。そこで習近平国家主席は「先進国が数百年をかけて歩んだ工業化を中国はたった数十年で達成した」と成果を強調しています。

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まとめ

今回は改革開放についてご紹介しました。

中国が発展した理由を紐解いていけば、この政策に行き当たります。

ぜひ、参考にしてみてください。

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