【北朝鮮の歴史】金日成から金正恩時代までわかりやすく説明

北朝鮮は近くにありますが、遠い国です。

その北朝鮮はどういった歴史を歩んできたのでしょうか。

簡単にわかりやすく解説します。

北朝鮮の歴代の最高指導者

北朝鮮には金一族である歴代3人の指導者がいます。

  • 金日成(キムイルソン):在位:1948年 – 1994年
  • 金正日(キムジョンイル)在位:1994年 – 2011年
  • 金正恩(キムジョンウン)在位:2011年 – 現在

それぞれ最高指導者の地位にいた時代が異なるので、それぞれ時代と照らし合わせながら歴史を見てみましょう。

北朝鮮を建国した金日成

北朝鮮と韓国の建国

1910年から1945年まで朝鮮半島は日本が支配していましたが、日本が戦争に負けたことによって朝鮮半島はソ連とアメリカが統治するようになります。

北緯38度から上がソ連が、北緯38度から下がアメリカが統治します。その流れを受けて、金日成をトップにした朝鮮民主主義人民共和国(きたちょうせん)、李承晩(イスンマン)をトップにした大韓民国(だいかんみんこく)が建国されます。

  • 北朝鮮:ソ連と中国の支援
  • 韓国:アメリカの支援

朝鮮戦争発生!金日成が侵攻

1950年に金日成が韓国に侵攻して、朝鮮戦争が始まります。

その前にアメリカが「このラインを超えて攻めてきたら軍事処置を取る」というアチソンラインを発表してそのラインの内側に韓国が含まれていなかったので、金日成はゴーサインだと捉えて侵攻しました。

当初、北朝鮮は高度な技術を誇りソウルを陥落させて釜山まで攻め込みますが、アメリカの反撃を受けて38度線まで押し戻されます。

そして、1953年に休戦協定が結ばれて、戦争は休戦となりますが、1958年10月まで中国軍は北朝鮮にいました。ちなみに1950年に中国と北朝鮮は中ソ友好同盟相互援助条約を結んでいたので、ソ連は中国を介して援助していました。

中国やソ連と距離を置く

  • 中国とソ連の対立:北朝鮮は独自路線を歩む

朝鮮戦争後、1956年にソ連ではスターリン批判が起こり、中国とソ連の関係は悪化する一方で北朝鮮は親ソ連派を粛清して国内で金日成の崇拝を進めます。また、中ソ対立が激化することによって、中国、ソ連、北朝鮮の参加国の枠組みが成り立たなくなります。

そして、金日成は中国とソ連の両方と同じくらいの距離で接する等距離外交をスタートさせて独自の路線を歩むことになります。

また、1961年に韓国では朴正煕(パクチョンヒ)政権がクーデターを起こして樹立したので、金日成は「韓国がいつか攻めてくるかもしれない」と怯えていました。

 

一方で、中国は1972年にアメリカのニクソン大統領が訪中して米中接近し、1978年には改革開放政策を取ったことによって同じ社会主義国としての溝が生まれるのでした。

韓国より国力が上だった時期に独裁体制確立

  • 主体思想:優れた指導者(金日成)が不完全な国民を導くことで国家が反映するという考え方

北朝鮮は朝鮮戦争を経験しても、他の社会主義国から援助を受けて1970年代まで韓国を上回るほどの経済力を誇っていました。

また、金日成は自身に権力を集中させるためにさまざまな人物を粛清します。

そして、1972年に主体思想(金日成の崇拝)を憲法に明記し、1974年に国民の行動模範に「党の唯一思想体系確立の10大原則」が定められます。これは簡単に言うと、最高指導者に絶対服従することを明文化したものです。

飢饉が北朝鮮を襲う

1970年代の後半から北朝鮮の経済は減速し始め、飢饉の道を辿ります。

原因は軽工業が発展せず必需品が行き渡らず、経済政策の専門家が粛清されたこなどが原因で経済が停滞しました。そして、1991年にソ連が崩壊して東欧諸国との経済交流が断絶したり、ソ連から重油が供給されなくなったりして経済が破綻します。

飢饉が深刻化し始めた1990年頃から北朝鮮を脱出する脱北者が注目されるようになります。

ちなみに、この頃、1983年にビルまで韓国政府の要人を暗殺するラングーン事件を起こしました。

そして、北朝鮮は1987年に大韓航空機爆破事件というテロ事件を起こし、日本人になりすました北朝鮮の工作員が飛行機を爆破させました。

中国とソ連は韓国と国交を樹立

1994年に金日成は死亡しますが、1992年に中国と北朝鮮の関係がとても悪くなります。この背景には、韓国の存在がありました。

韓国では、社会主義国に融和的な盧泰愚(ノテウ)政権が樹立して、中国と韓国が国交を樹立したのです。ちなみに、韓国の盧泰愚政権は1990年に当時のソ連と国交を樹立します。

また、韓国は1988年にソウルオリンピックを実現(北朝鮮はボイコット)させており、国際社会での存在感を強めていました。

国際進出と軍拡を進めた金正日

外国と外交を重ねるが成果なし

1994年に金日成が死亡したことによって、息子の金正日が最高指導者になります。北朝鮮国内は深刻な飢饉が発生している一方で、国際社会では冷戦によって世界が分断して北朝鮮は国際的にも孤立していました。

そこで、金日成は外交を本格化させて経済援助目的で、多くの国々と国交を樹立していました。それに加えて韓国には北朝鮮に融和的な太陽政策を行う、金大中(キムデジュン)政権が樹立され初の南北首脳会談が開催されます。

また、中国の経済協力もあって北朝鮮経済は安定する一方、日本とは拉致問題、アメリカとは核問題で意見が合わずに国交樹立することはありませんでした。

軍事開発を行う

1995年に北朝鮮は水害が発生して食糧危機になります。

その一方で、1990年代後半、北朝鮮は軍事開発を行います。特にテポドンの発射実験を行い1999年にはミサイル実験を行わない代わりに、アメリカに経済制裁を一部解除してもらいます。

国際社会復帰を狙いながら軍拡を進める

北朝鮮は2000年代に入って、中国やロシアとの関係を改善させます。そして、イギリスやドイツなどの欧州各国とも国交を樹立するのでした。

2002年には、日本の小泉元総理が訪朝して、北朝鮮に拉致問題があることを認めます。また、国交正常化の交渉を進めることで一致しました。

2003年に核で自国を守るしかないという理由で北朝鮮はNPT(核拡散防止条約)を脱退します。2005年には核保有宣言を行って事実上の核保有国となってしまいます。

そして、北朝鮮、韓国、アメリカ、ロシア、中国、日本が集まって北朝鮮の核開発を外交的に抑止する六者協議も開催されなくなりました。

新たな国家体制を築く金正恩

初めてアメリカと会談を行う

2011年に金正日が死亡して、息子の金正恩(キムジョンウン)が最高指導者になります。金正恩時代は先代と以下の点で異なります。

  • 三代世襲の正当化
  • 共産、社会主義を過去ほど重要視していない

金正恩は、自分が正しい後継者だということを正統化した上で、北朝鮮は社会主義や共産主義を過去ほど重要視しないようになりました。たとえば、金正恩は資本主義手法を取り入れた経済政策のディスカッションを容認するように方向転換しています。

また、北朝鮮は軍拡を続けてミサイル実験などを頻繁に行っている一方で、2018年には韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領と南北首脳会談を開き、アメリカのトランプ大統領と初めての米朝会談を行いました。

しかしながら、どちらの会談も目に見える成果は上がっておらず、北朝鮮経済は冷え込む一方でミサイル開発などの軍拡も続けている状況です。

まとめ

今回は北朝鮮の歴史についてご紹介しました。

最高指導者ごとに北朝鮮を見てみると、それぞれに特色があって北朝鮮がどのように国際社会の中で立ち回ってきたか分かります。

ぜひ、参考にしてみてください。

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