香港の雨傘運動とは?経緯や失敗した原因を簡単にわかりやすく解説

雨傘運動とは、2014年に香港行政長官選挙をめぐって起こった大規模なデモです。

雨傘運動のリーダーは誰で、どういった経緯で起こり、なぜ傘を持っていたのでしょうか。

簡単にわかりやすく解説します。

雨傘運動とは

雨傘運動とは、 2014年9月26日から2014年12月15日まで香港行政長官選挙をめぐって起こった大規模なデモです。

デモの原因と目的

もともと、香港は一国二制度が認められていましたが、香港のトップである香港行政長官は1200人の選挙委員が選ぶ間接選挙でした。そして、2017年には制度が変わり、香港市民一人一票の普通選挙で選ばれる予定でした。

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しかしながら、2014年8月31日に中国は行政長官の候補者は、親中派が占める指名委員会から過半数の支持を受けなければ立候補ができないと決定します。

これを香港人から考えてみれば親中派が「OK」と言わない限り、候補者となって選挙に出馬できません。つまり、中国に批判的な態度であれば、選挙に立候補することができないのです。

中国側の思惑は、中国の言うことを聞くような人をトップのポジションに配置しようということでした。これに反発した香港人、特に若者がデモを起こしました。これが「雨傘運動」です。

香港デモ
目的 普通選挙の実施
原因 中国政府が指名委員会を通じて行政長官を恣意的に選べるようにしたから
結果 失敗:長期に渡るデモのため、住民たちの生活に悪影響を与えて支持も失った

雨傘運動のリーダーは?

雨傘運動の中心になった人物として、よく知られているのは以下の通りです。

  • 戴耀廷(たいようてい)
  • 羅冠聡(らかんそう)
  • 周永康(しゅう えいこう)
  • 黄之鋒(こうしほう)
  • 周庭(しゅうてい)

順にくわしく見てみましょう。

戴耀廷

戴耀廷(たい ようてい)は1964年7月12日生まれの香港大学の教授です。雨傘運動を計画した人物で、デモを成功させるために台湾からひまわり運動の指導者である林 飛帆(りん ひはん)を招くなどをしました。

その後、 2019年に雨傘運動のデモにおける公的不法妨害が理由で禁固刑になります。

羅冠聡

羅冠聡(らかんそう)は1993年7月13日生まれの政治家です。香港衆志(ほんこんしゅうし)という政党の主席であり、2016年の香港立法会選挙で議員に選ばれます。

しかしながら2017年に資格を取り消され、現在は香港の国家安全維持法違反の容疑で指名手配されておりイギリスに亡命しています。

周永康

周永康(しゅう えいこう)は1990年8月18日生まれで、香港学生連盟の事務局長です。デモでは最初に香港各地の学生1万3,000人を集めました。その後は戴耀廷に代わってデモの中心人物となります。

周永康はデモを行った後、北京まで対話をしに行こうと試みますが、身分証が失効していたため登場できませんでした。その後は求心力を失って行き、何度か逮捕も経験します。

黄之鋒

黄之鋒(こうしほう)は1996年10月13日生まれの民主化団体「学民思潮」のリーダー、香港衆志(ほんこんしゅうし)の事務局長でした。2010年頃にも反国民教育運動に関するデモに参加していました。

その後、何度か逮捕されますが、2021年に国家安全維持法違反で逮捕されます。

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周庭

周庭(しゅうてい)は1996年12月3日生まれで、香港衆志のメンバーでした。日本語が堪能で、日本のアイドルや漫画にも詳しく広報担当としても活躍しています。また日本では「民主化の女神」としてよくテレビで報道されています。

2020年8月10日に香港国家安全維持法違反容疑で逮捕されました。

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なぜ雨傘運動と呼ぶのか?

日本の報道でもデモの様子が報道されていますが、その時に映るのは警察とデモ隊が衝突する姿です。警察はデモ隊を止めるために、催涙スプレーを発射しました。

デモ隊は警察の催涙スプレーから雨傘を使って身を守りました。これが由来となって雨傘運動と呼ぶようになりました。

なぜ雨傘運動は失敗したか

デモが長期化して、近隣の住民の生活などに影響を及ぼしてしまったことから、市民の支持を失って香港当局に強制排除されてしまいました。

また、一番大きな要因となったは、リーダーが不在だったことです。たしかに、中心となった人物はいますが、明確なリーダーがいません。中心となった人物がデモを呼びかけて、参加者は自発的にデモに参加しました。

そのため、参加者の一人ひとりがデモに対する熱気が違い、統制がとれずに脱退する人が相次いでしまいました。

雨傘運動のその後は?

雨傘運動の後、結局普通選挙は実施されることはありませんでした。1200人の選挙委員が投票権を持ち、間接選挙で行政長官が選ばれました。2017年に誕生したのが、林鄭月娥(りんていげつが)行政長官です。

そして、平和的な雨傘運動に参加した人の中には、「平和的なデモでは何も社会が変わらない」と感じたデモ隊もいて、その後の香港デモでは暴徒化してしまいました。

また、雨傘運動は香港にない選挙を求めるためのデモでしたが、2019年に起こったデモは異なり、香港にある制度を守ろうとするデモに変わりました。そして、雨傘運動での経験が次のデモでも活かされるようになります。

雨傘運動がよくわかる映画

『乱世備忘 僕らの雨傘運動』というドキュメンタリー映画があります。これは雨傘運動の79日間の記録を撮影した映画です。

日本のニュースで知られていないデモ隊の一面が垣間見られます。見所は特に、香港のいわゆるエリートと低学歴の人が「デモ」という共通の目的で行動を共にする時に生まれる人間関係の模様です。

ぜひ、ご覧になってください。

まとめ

今回は雨傘運動についてご紹介しました。

香港は民主主義と言いながら、民主主義に大切な選挙制度が機能していないことに問題があったのです。

日本とは異なる環境にびっくりする人もいるかもしれませんが、日本が恵まれているのに気づくと同時に雨傘運動は香港を理解する上でも大切ですね。

ぜひ、参考にしてみてください。

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