日米関係はどういった過去を辿ってきたのでしょうか。
また、現在の日米関係はどういったもので、問題点や課題はあるのでしょうか。
簡単にわかりやすくご説明します。
第二次世界大戦までの日米関係の歴史
17世期初頭から間接的な交流が始まる
日米関係は17世期初頭の南蛮貿易ごろに始まりました。当時は、スペインやポルトガルを介して日米の交流が行われます。
ちなみに1791年にアメリカ人として初めて日本に上陸したのは、探検家のジョン・ケンドリックで、彼は到着してアメリカ国旗を掲揚して領土を主張したとされています。
そして、1852年に黒船でペリーが来航します。黒船を脅威に感じた日本政府は日米和親条約を結んで鎖国をやめて開国します。
日本が開国しても対等とはみなされず
ちなみにアメリカが日本を開国させた理由は中国との貿易のため、太平洋航路を開拓したかったことと、捕鯨で悪天候など緊急時に日本の港を利用したかったからです。
日本が開国してから、日本から要人をアメリカに送り出します。また、一方でアメリカも日本の経済や軍事の近代化を支援します。
また、伊藤博文首相時代の1894年に陸奥宗光外相の貢献により、日米通商航海条約を結んでアメリカの日本に対する領事裁判権撤廃、日本の関税自主権一部回復といった成果をあげます。しかし、まだ日本に不利な部分も残っていました。
それから日本は1905年に日露戦争に勝利して、日本国際的地位は向上します。そのおかげで新しい日米通商航海条約が結ばれて、アメリカと対等な立場を手に入れることになりました。
太平洋戦争前の日米関係
1920年前後は、中国大陸進出を巡って日米の利権争いが起き、アメリカ国内でも排日運動が起こります。一方で、日米の有識者が日米関係の改善を行うために、さまざまな慈善活動を行います。
しかしながら、中国大陸を巡って日本は妥協しなかったのでアメリカとの緊張関係はさらに深まります。そして、アメリカ・オーストラリア・イギリスとオランダ亡命政府はABCD包囲網で禁輸、日本製品のボイコットを行います。
それに加えて、日本は軍拡を行いますが、実は石油の80%をアメリカから輸入していました。そして、1941年7月にアメリカは対日全面禁輸を行い、全ての石油輸出が停止されてアメリカにおける日本資産は凍結されます。
このままでは石油が尽きて干からびてしまう等の理由から短期決戦を目論見、日本はアメリカに宣戦布告するのでした。
第二次世界大戦後の日米関係の歴史
日本がアメリカとの温度差に葛藤
第二次世界大戦後、7年間ほど日本は連合国の支配下になります。その頃、朝鮮半島で朝鮮戦争が起こったのがきっかけで、日本に自衛隊の前身である警察予備隊が設立されます。
そして、1951年にアメリカとは日米安全保障条約を結ぶ一方で、1952年に日本はサンフランシスコ平和条約を結んで主権を回復します。
しかし、日米安全保障条約には以下の問題点がありました。
- アメリカの日本防衛義務が明記されていない
- 日本の内乱にアメリカが出兵可能
また、国の経済が回復してから日本は自信を取り戻し、日本国民は沖縄への基地集中も注目するようになります。
その流れの中で1960年に岸信介内閣は日米安全保障条約を新たなものに変え、日本が攻撃された場合の防衛相互協力をすることで合意します。
そして、1968年に小笠原諸島、1972年沖縄が日本に返還されます。
しかしながら、冷戦期ということもあり、アメリカは日本に相談することなく中国へ接近した上、日本からアメリカの輸出を妨げるためにアメリカ側が輸入品に10%の課徴金を科します。
これによって日本のアメリカに対する不信感が浮き彫りになるのでした。
安全保障だけでなく経済分野にも摩擦が発生
1975年にアメリカはベトナム戦争に負けて撤退します。これがきっかけで、アメリカは日本にもっと防衛力を高めることを求めます。また、経済の分野では日本からアメリカへのカラーテレビ輸出規制など日米の貿易摩擦が起こります。
また、イランのアメリカ大使館が襲撃されたことを受けて日本は非難した一方で、日本はイランから石油を購入していました。これによってアメリカの不信感を買います。
その後、日本はアメリカと歩調を合わせて荒波を立てないように行動するのでした。
1980年代に入ると、日米関係は中曽根康弘首相とロナルド・レーガン大統領の個人的関係が良好でロン・ヤスと呼び合うほどでした。この間に安全保障を中心にアメリカのパートナーとなれるように日本は努力をします。
その一方で、日本はイラン・イラク戦争などで「お金は出すのに血は流さない」「アメリカの自動ATM」といった批判を受けることになります。
その一方でアメリカの対日貿易赤字から日米の貿易摩擦が多発します。特に日米ハイテク摩擦は、アメリカから日本のハイテク産業の締め出しが行われました。結果として、当時世界で一番だった日本の半導体産業はアメリカに潰されました。
現代の日米関係へ
1989年に冷戦が終了しても、日米の同盟関係は続きました。日本は世界2位の経済力であったため、アメリカは日本は経済的脅威だという声がある一方、日本ではアメリカはかつての指導的立場にないと考える人もいました。
また、日米の貿易摩擦は自動車分野などで早急な解決にはなりませんでしたが、ハイテク分野で共同研究をするなどの合意に至りました。
その後、2000年代に入って中国や北朝鮮の脅威に対処する方向で一致して、日本の自衛隊と米軍のミサイル防衛の共同開発などで再び日米関係は深まります。
日米関係の現状
日米関係は現在、極めて良好です。その理由は以下の3つです。
- トップ同士の関係が良好
- これまでの経済界のつながりが深い
- 地域の秩序を安定化させるために日米同盟が機能している
トップ同士の関係が良好
安倍前首相とトランプ前大統領はゴルフ外交に代表されるように、良好な関係を気づいていました。
それに続き、菅首相とバイデン大統領も就任早々に日本と対面で会談を行いました。
トップ同士の関係は良好でしょう。
これまでの経済界のつながりが深い
日本企業は30年以上、投資や雇用などを通じてアメリカの経済に好影響を与えています。
アメリカ経済に必要不可欠なものとなっているので、日米関係の大きな礎となっています。
地域の秩序を安定化させるために日米同盟が機能している
冷戦が終結して、中国が台頭してきました。この変化に対処するために、同じ危機感を共有する日米同盟は強固なものとなっています。
また、国力が落ちてきているアメリカは必要以上に日本の面倒を見れません。そのため、日本の防衛力強化やアメリカへ協力する姿勢が必要なのですが、安倍政権下で集団的自衛権の行使が可能になりました。
これにより日米が対等なパートナーシップになりつつあると言っても過言ではありません。
日米関係の問題点や課題
日米関係の課題や問題点としては以下のようなものがあります。
- 自動車分野などの貿易摩擦
- 在日米軍駐留経費の日本負担
- アメリカの防衛範囲
自動車分野などの貿易摩擦
バイデン大統領と菅首相の会談が2021年に行われましたが、米国の自動車関税撤廃交渉が棚上げ状態です。
アメリカは将来的にTPPで自動車分野の関税撤廃を掲げていますが、先が見通せない状態になっています。
在日米軍駐留経費の日本負担
トランプ大統領時代にも、日本の在日米軍の駐留費の負担額の増額を求めました。
バイデン大統領になっても、米国の状況や日米の関係を考えると負担額の増額要求は避けられないので、いかに日本がその要求を上手く処理するかが注目です。
アメリカの防衛範囲
アメリカと日本は距離が離れていて、北朝鮮のミサイルが日本に落ちてきても米軍は本当に本気で日本を守るのかという議論はされてきました。
また、特に中国による尖閣諸島の実効支配が現実味を帯びてきたところで、果たして無人島をアメリカが全力で守るのかという問題もあります。
これについてはアメリカ側は尖閣を守るという発言をしていますが、アメリカの本気度も問われることになるでしょう。
まとめ
今回は日米関係の歴史を簡単にわかりやすく解説しました。
また、現状の日米関係は良好ですが、課題や問題点も存在します。
ぜひ、参考にしてみてください。
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