台湾有事は近いうちに起こる紛争だと言われています。
台湾有事のシナリオはどういったものなのでしょうか。また、発生する可能性はどれだけあって、日本の自衛隊の対応はどうなるのでしょうか。
簡単にわかりやすくご説明します。
台湾有事とは
台湾有事とは、台湾を舞台に巻き起こる中国と台湾の紛争を指します。
台湾で発生する自然災害などの緊急事態についても台湾有事と言いますが、ほぼ中台間の戦争を指します。
また、実際には単純に中国大陸と台湾の戦争ではなく、台湾のバックには米国もついています。
アメリカは中国と国交を結びながら一方で台湾に武器支援をするなど、両方と関係を曖昧に維持するスタンスを取ってきました。
そのため、中国も台湾を軍事侵攻すれば、すぐにアメリカがやって来るのでうかつに手を出せません。だから平和が保たれています。
台湾有事の可能性は?いつ?
台湾有事の可能性は極めて高いです。
なぜならば、中国は台湾統一を確信的利益の一部として絶対に諦めることがないので、中国が国力をつけるにつれて発生する可能性が高まっています。
アメリカの力が落ちて、中国がアメリカと台湾に勝てるかもしれないと思った時が一番台湾有事の可能性が高くなります。
2020年代には中国の経済力がアメリカを抜いて世界1位になるので、その前後に中国が台湾を実際に侵攻する可能性が高いとも言われています。
台湾有事のシナリオ
台湾有事のシナリオは大きく分けてふたつあります。
- 戦争をせずに間接的に台湾が中国に併合
- 台湾を実際に中国軍が奪取する
①が起こった後に②に移行するとも言われています。
具体的には台湾内部の政治や経済を不安定にしてから台湾社会を混乱させた後に、台湾の離島を奪取して尖閣にわざと注意を引き付けて日米を翻弄させている間に、中国が台湾に上陸して短期決戦に持ち込むことです。
それぞれ詳しく順番に解説します。
戦争をせずに間接的に台湾が中国に併合
台湾は民主主義国家なので選挙があります。台湾の人々の中には「中国と一緒になりたい」と考えている人もいるので、そういった考えの政党(国民党)が政権を取ると、必然的に台湾併合に近づきます。
ちなみに、台湾の選挙の時はフェイクニュースを流して親中派の人間を増やすといった工作を中国は行っています。
一方、台湾内部を混乱に陥れるという方法もあります。それが大統領の暗殺や、サイバー攻撃などで社会生活を一変させることです。うまくやれば、政府の失敗やミスという演出も可能です。
そして、台湾の独立志向が強い民進党政権を転覆させて、中台を接近させたい国民党政権を樹立させるといった手法です。
台湾を実際に中国軍が奪取する
中国が実際に武力で台湾を侵攻する場合、以下のようなパターンが考えられます。
- 中国が台湾の離島を侵攻する
- 台湾本島の海上・航空封鎖を行って台湾を孤立化させる
- 短期決戦で総統府に奇襲攻撃を仕掛ける
- 弾道ミサイルで台湾を撃つ
- 人民解放軍を台湾に送り込んで制圧
数字が高くなればなるほど、攻撃の度合いはエスカレートして現実的ではなくなります。
その中でも①のように中国が台湾の離島を制圧する可能性が高いと言われています。無人の東沙諸島や有人の金門島がありますが、まず無人の東沙諸島を侵攻して台湾とアメリカの出方を見ます。
そして、反撃に武力を使うかどうかで台湾の世論は別れるため、政権交代が起こるかもしれません。
さらにエスカレートすると、台湾を海上・航空封鎖させて食料や燃料などの供給を遮断して台湾が干からびるのを待って併合します。
台湾本土では、政府を動かす総統府(そうとうふ)を局地的に叩いて政権を麻痺させるか、弾道ミサイルを打ち込み人民解放軍を大量に送り込むといったシナリオが考えられます。
日本も他人事ではない!自衛隊はどう動く?
台湾有事は対岸の火事ではない理由
台湾有事は日本にとって他人事ではありません。代表的な理由は以下の通りです。
- 尖閣諸島が台湾攻撃に利用される
- 在日米軍が台湾有事の抑止力となっているから
尖閣諸島は中国の一部という主張をしているので戦場になるという話はもちろんですが、尖閣諸島は台湾侵攻をする場合、中国にとって非常に有利な場所にあります。
尖閣諸島に地対空ミサイルを設置すると、台湾や沖縄は射程圏内になるため、簡単に米軍が近づけなくなります。そのため戦略上、尖閣侵攻が台湾有事にも結びつきます。
また、台湾有事の際に対応する米軍は沖縄の基地から出発します。それを踏まえると台湾有事での初期段階で米軍を押さえ込むために先に中国が沖縄の米軍基地をミサイルで攻撃するといった可能性もあります。
そうなれば、日本も必然的に戦争に巻き込まれる恐れがあって、全く他人事ではないのです。
自衛隊はどう立ち回るべきか
アメリカは台湾有事の際に、日本にある自衛隊や民間の基地や港の使用を求めてきます。それに反対すれば、アメリカは不利になるので作戦上日米の協力は必須です。
しかし、台湾有事の深刻さに応じて日本や自衛隊が取る行動が変わってきます。
- 放置すれば日本が武力攻撃を受ける可能性がある場合
重要影響事態 - 日本と密接な他国が武力攻撃され日本の存立や国民の生命が危険な場合
存立危機事態 - 日本へ武力攻撃が発生、もしくはその危険が明確に切迫する場合
武力攻撃事態
事態の深刻度に分けてそれぞれ見てみましょう。
放置すれば日本が武力攻撃を受ける可能性がある場合
放置すれば日本が武力攻撃を受ける可能性がある場合、日本は重要影響事態法に基づいて行動します。
法的には自衛隊を含む日本の関与は非戦闘的な後方支援に限定されます。
具体的にアメリカが後方支援として求めるものは、米軍基地の保護や物資の供給や医療などです。また、被害の及びそうにない部分では、諜報や偵察、難民の対応などがあげられます。
日本と密接な他国が武力攻撃され日本の存立や国民の生命が危険な場合
日本と密接な他国が武力攻撃され日本の存立や国民の生命が危険な場合、日本は集団的自衛権に基づいて武力行使を行います。たとえば、米軍などへの攻撃に対する反撃を行います。
ただし、適応される場合が「日本の存立が脅かされ、国民の生命や権利が根底から覆される明白な危険がある場合」とかなり厳しく指定されているので、日本政府は慎重に判断するでしょう。
日本が戦場にならず、台湾だけが戦場になった場合、日本は集団的自衛権に基づいてどれほどの武力でアメリカに対して貢献するのか、というのが識者の中でも意見が割れるテーマになっています。
中には、台湾と日本はすぐ隣なのだから、有事の深刻さをいちいち判断している暇などないと主張する人もいます。
日本へ武力攻撃が発生、もしくはその危険が明確に切迫する場合
在日米軍を含む日本へ武力攻撃が発生、もしくはその危険が明確に切迫する場合、日本は個別的自衛権に基づいて武力行使を行います。これは日本への攻撃に対して反撃をします。
まとめ
今回は台湾の有事について解説しました。
台湾有事は発生する可能性が高く、そのシナリオは複数の攻撃が立て続けに起こりエスカレートしていきます。
また、日本も他人事ではなく、どれだけ台湾有事にコミットできるかが焦点となっています。
ぜひ、この記事を参考にしてみてください。
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