尖閣諸島問題は、日本が抱える諸問題の中で喫緊の問題です。
ニュースでよく取り上げられますが、実際何が問題なのかよくわからないですよね。
そこで今回は尖閣諸島問題とは何か、日本、中国、台湾の主張などについてわかりやすく解説します。
尖閣諸島問題とは
尖閣諸島問題とは、日本の石垣島から約170km離れた尖閣諸島を巡って、日本、台湾、中国が領有権を主張している問題です。
日本が実効支配していますが、中国や台湾の漁船が尖閣諸島沖の領海内に侵入するという事件が頻繁に起こっています。
尖閣諸島の歴史と問題の経緯
尖閣諸島とは、南西諸島西端に位置する以下の島や岩礁のことを指します。
- 魚釣島
- 北小島
- 南小島
- 久場島
- 大正島
- 沖ノ北岩
- 沖ノ南岩
- 飛瀬
簡単な歴史
1895年1月に日本の領土に編入され、その後一時期は200人ほどの日本人が尖閣諸島で暮らして鰹節工場や羽毛の採取などを行っていました。
そして、第二次世界大戦の講和条約であるサンフランシスコ平和条約で、日本が台湾を手放しますが尖閣諸島は日本領として扱われました。また、尖閣諸島や沖縄はアメリカが施政権を握っていました。
それから1969年に国連の沿岸鉱物資源調査によって、尖閣諸島付近に石油が埋蔵されているという可能性が報告されます。
1971年6月にアメリカから尖閣諸島を含む沖縄が返還され、同月に台湾、12月に中国が尖閣諸島の領有権を主張し始めました。
石油資源の埋蔵が転機でした。
国際法違反?現状の何が問題なのか
尖閣諸島は日本が実効支配していますが、中国に奪われるのではないかという懸念がなされています。
なぜならば、中国は2021年2月に「中華人民共和国海警法」を施行しているからです。
日本は自衛隊で対抗するとエスカレートさせる?
この法律によって、中国の海警船は日本の海上保安庁のような警察の役割ではなく、軍隊の一部だと位置付けられました。
つまり、日本は軍隊を対処しなければなりません。日本ももっと前に自衛隊を出して対抗すれば、中国がそれを口実にさらに圧力を強めてくる可能性もあるので難しいところです。
中国の国内問題になる?
また、こちらの法律では、中国当局の得ない外国の組織や個人が中国の管轄内で建造物を建設した場合、強制的に解体できます。また、中国国内法に違反する場合は強制的に排除、拿捕も可能であり、武器使用も可能です。
この法律が怖いのが、「中国が主張する領土・領海」で適応する点です。つまり、尖閣は中国のものだと主張すれば、日本の領土であっても「中華人民共和国海警法」が適応されて紛争が起こる可能性があります。
このおかげで、日本は強い措置に出られず、中国は戦わずとも尖閣諸島を手に入れられるとも言われています。
尖閣諸島問題に対する日本の立場
外務省によると、日本の基本的立場は以下の通りです。
- 尖閣諸島が我が国固有の領土であることは、歴史的にも国際法上も疑いのないところであり,現に我が国はこれを有効に支配している。
- 尖閣諸島をめぐり,解決すべき領有権の問題は存在していない。
1895年1月に日本政府は、尖閣諸島がどの国にも属していないことを確認して編入して現在までその状況が続いています。
また、竹島とは逆で、尖閣諸島は日本の領土であるのと決まっているので、問題は何一つないという立場です。
尖閣諸島問題に対する台湾の立場
台湾も尖閣諸島の領有権を主張しています。
ただし、台湾なのか中華民国なのかで、主張のニュアンスが変わってくるのでここでは中華民国の見解をご紹介します。
台湾と中華民国の違いは以下の記事をご覧になってください。
台湾は石油埋蔵の可能性が発表された後の1971年に尖閣諸島の領有権を主張し始めます。
その背景には、1985年の下関条約で台湾は日本が統治するようになりましたが、その際に台湾に属している尖閣諸島も日本に領有権が移ったと主張しています。
しかし、当時の清国と日本は尖閣が含まれるという認識もなく、尖閣諸島の現地調査で清の支配がないということが判明しました。
尖閣諸島問題に対する中国の立場
中国も石油埋蔵の可能性が発表された後の1971年に尖閣諸島の領有権を主張し始めます。
中国は明の時代には、尖閣諸島を発見して認知していたと言いますが、国際法上、発見・認知では領有権があるとは言えません。
また、明の時から尖閣諸島が中国領だったと主張していますが、台湾ですら明が完璧に統治しておらずポルトガルやスペイン、オランダなどが実効支配していました。
また、中国は「台湾は中国の一部」だと思っています。一方で、「尖閣諸島は台湾に属する」とも考えています。つまり、「中国の台湾省の一部に尖閣諸島が属する」と言いたいのです。
尖閣諸島中国漁船衝突事件
2010年に尖閣諸島中国漁船衝突事件が発生します。こちらは日本の海上保安庁の巡視船「よなくに」「みずき」と中国漁船が衝突した事件です。
この一件で、2隻は破損します。
これに対して、中国漁船の船長や乗務員を石垣島に連行します。領海侵犯に対して海上保安庁の調査を妨害する「公務執行妨害」でした。
中国はこれに猛反発して、日本大使館への抗議や嫌がらせ、日本に対して中国産のレアアースを輸出抑制するなどの措置を取りました。そして、日中関係が悪くなり、SMAPの上海コンサートが中止になるほどでした。
また、この事件以降、中国が尖閣付近に領海侵入することが多くなりました。
当時の尖閣諸島は埼玉県に住む個人が所有していましたが、行政が所有した方が諸問題に対処しやすいという考えのもと、2012年の尖閣諸島国有化に繋がっていくのでした。
尖閣諸島問題を巡るデモや暴動
2012年に日本が尖閣諸島を国有化した際に、中国では反日デモや暴動が発生しました。
多くの日系店が襲撃を受けたり、日本大使館に石を投げられたりしました。
一方で台湾でも時折デモが発生しています。
台湾のデモでは、漁業権についての関心も高まっています。
まとめ
今回は尖閣諸島問題について解説しました。
尖閣諸島問題は一番危機が差し迫っている問題でもあります。
問題の背景や、他国の主張がわかった上で日本はどうするべきが考えるきっかけにしたいですね。
ぜひ、参考にしてみてください。
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