韓国大統領選をわかりやすく解説!右派と左派で何が違う?

韓国では2025年6月、大統領選挙が行われます。日本のニュースでも徐々に報道が増えてきましたが、背景にある政治構造や外交の見通しまで語られることは意外と少ないかもしれません。

今回は、国際政治ジャーナリストである筆者が取材などの実体験をもとにわかりやすく解説します。

この記事では、韓国大統領選を「わかりやすく」理解するために、専門的な部分はあえて単純化して解説します。細かい最新情勢や数字は刻一刻と変わるため扱いませんが、構造的に何が争点になっているかを押さえれば、大統領が誰になっても今後の展開が読みやすくなるはずです。

1. 北朝鮮への姿勢でガラッと変わる

韓国の大統領が変わると、もっとも大きな違いが出るのが「北朝鮮との向き合い方」です。

  • 保守系の政権は北朝鮮に対して強硬姿勢。ミサイルに対する迎撃態勢や、米韓合同軍事演習の強化など「防衛力の増強」が基本です。

  • 進歩(革新)系の政権は、対話路線。南北の経済協力や人的交流によって、朝鮮半島の安定を目指します。

「戦うのか? 話し合うのか?」という単純な違いが、国の政策を根本から変えてしまいます。


2. 対中国の外交はジレンマだらけ

韓国は中国との経済的な結びつきが強く、貿易全体の約20%前後を中国に依存しています。

特に半導体などの分野では関係が深く、単純な「親中・反中」では整理できません。

ただし、過去には米国との防衛協力(THAAD配備)を進めた結果、中国から団体旅行を止められるなど経済報復”を受けた苦い記憶もあります。そのため、どの政権も表立って中国に強く出ることには慎重です。

  • 保守政権:対中依存を減らしたい。安全保障優先。

  • 革新政権:中国を北朝鮮との対話に活かしたい。経済関係も維持。

3. 日韓関係は「反日or親日」ではない

よく「韓国の大統領は反日だ」と言われますが、政権によって立場は異なります。

  • 保守政権:歴史問題では距離を取りつつも、現実的な日韓協力を進めやすい。

  • 革新政権:徴用工や慰安婦など歴史認識に敏感で、摩擦が起きやすい傾向。

ただし、現在の国際情勢では日韓協調が求められている状況です。米中対立や北朝鮮リスクに対応する上で、日韓の協力は“合理的な選択”として注目されています。


4. 社会を揺るがす「分断」問題も争点

韓国社会では、政治的な左右の対立だけでなく、以下のような価値観や世代の分断も深刻化しています。

宗教と政治の結びつき

  • 保守系候補は、キリスト教系団体など宗教勢力の支持が強い。

  • 革新系は政教分離・個人の自由を重視する傾向。

世代間ギャップ

  • 40代〜50代:民主化運動世代で進歩派支持が強い。

  • 60代以上:冷戦期の保守支持層。

  • 20代〜30代:政治的に流動的で、特に「反フェミニズム」の文脈で支持が割れる。

フェミニズムと若年層の反発

文在寅政権以降、女性優遇策やポリコレ推進に対して、20代男性が強い反感を持つようになり、「反フェミ」を掲げる候補に支持が集まる現象も起きています。


5. 今後の外交戦略と「核」をめぐる火種

仮に進歩政権が誕生しても、まずは日米欧との信頼構築からスタートし、対中外交はその後に展開するというのが多くの専門家の見立てです。

理由はシンプルで、その方が外交カードの幅が広がるからです。米国とは防衛費増額や造船協力、欧州とはウクライナ支援やNATO連携で協力関係を深める路線がすでに始まっています。

一方で、懸念されるのが「核政策」です。北朝鮮の脅威に対抗するため、韓国国内では核保有論が台頭する場面もあります。特に左派の一部には「米国に頼らず自主防衛を」という声もあり、日本がとってきたような「ウラン濃縮技術を平和利用で保持する」という“潜在核保有”に近い戦略を目指す動きが指摘されています。

これは、日韓間での新たな火種となる可能性もあります。


✅ まとめ:「政権が変わる=国の針路が変わる」韓国の選挙は他人事じゃない

韓国の大統領選は、単なる隣国の話ではありません。新大統領が誕生すれば、北朝鮮への対応も、日本との関係も、米中の間での立ち位置も変わってくるからです。

背景には、宗教、世代、ジェンダーといった韓国社会の深い分断も絡んでおり、選挙はまさにその「鏡」となっています。

今後も日韓関係を考える上で、韓国の選挙は非常に重要なカギになります。

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