香港デモの今現在の状況は?なぜ起こったか原因を簡単にわかりやすく

2020年に起こった香港のデモがみなさんの記憶に新しいですね。死者も出て、多くの人が犠牲になりました。しかしながら、なぜ香港の人々たちはこれほどデモに本気なのでしょうか。

そこで今回は香港のデモがなぜ起こったか、 国家安全法(香港国家安全維持法)とは何なのかなど分かりやすく解説します。

香港デモの現在の状況

香港デモは現在も小規模ながら続いています。しかし、以前のような大規模のデモは起こりません。

なぜならば、国家安全法が制定されて、中国からの分離独立や中央政府の転覆、テロ行為、外国勢力との結託を禁止されました。これによって表立った集会を行うと逮捕されるようになりました。

中国側はこの法案によって、香港に平和な日々が訪れたと言う人もいますが、香港の言論の自由や高度な自治を求める人たちは、無言で行進をするなど別の形で抗議の意思表示を続けています。

香港デモ(2019年)は「逃亡犯条例」を巡って起こった

香港の民主化活動家は5大要求を香港政府に突きつけてデモを行いました。

  1. 条例改正案撤回
  2. 行政長官選挙で直接選挙制を導入
  3. 警察を監視する委員会設置
  4. デモ隊を「暴動」と解釈することへの撤回
  5. 逮捕された人々の釈放

その中でも直接の原因となったのは 「逃亡犯条例」、いわゆる「容疑者引き渡し条例改正案」です。この条例があれば、香港の容疑者を中国に引き渡して中国の裁判で裁くことが可能です。

一見まともな条例に見えるかもしれませんが、香港の人たちからすると中国政府から目をつけられた場合、勝手に罪を着せられて中国の裁判で裁かれるという懸念点があり、なんとしてでも止めるという思いでデモにつながったのです。

 

実際にこの条例だけでは危機感を感じないと思いますが、実はこの改正案が出される2016年に中国政府に対して批判的な書籍を取り扱っていた書店の関係者が失踪し、中国で拘束されるという事件が起きています。

また、 香港には中国と違って民主主義と選挙制度がありますが、 実際は中国政府の言うことを聞くような人しか政治に携われませんでした。同様に香港は「一国二制度」で高度な自治が2047年まで認められていますが、中国政府はそれに全く沿わずに行動していました。

そのような不安が募った中、一気に爆発したのです。

香港デモ(2019年)の規模

2019年6月16日に起こった香港デモではなんと、200万人がデモに参加したと言われています。香港の人口から考えると4人に1人以上がこのデモに参加したと言われており、多数の香港人の感情を反映したのがこのデモと言えます。

また、死亡者は2020年1月16日までは13人、2020年4月15日までにはおよそ8000人が逮捕されるという事態になっています。

 

さらに、このデモの悲惨さを表すものとして、香港人の警察が同じデモ隊の香港人に向かって発砲し、無抵抗のデモの参加者を警棒で殴りつけるなどしていました。また、三合会と呼ばれる香港の黒社会の組織が白シャツを着て、デモ隊を襲撃し、木の棒や刀で殴りつけるといった行為もありました。

とにかく悲惨なデモになってしまったのですが 、一番の目標であった「逃亡犯条例」は撤回されます。 しかし、デモ隊の大欲求はそれだけではなかったので、その後のデモも止みませんでした。

香港デモの起こった場所はどこ?

実際にデモの中心地になったのは、以下の通りです。

  • 九龍半島:尖沙咀(チムサーチョイ)
  • 香港島:中環(セントラル)、金鐘(アドミラルティ)、湾仔(ワンチャイ)、銅鑼湾(コーズウェイベイ)

地図で言うと、九龍半島側は先端部分です。

一方の香港島側はビクトリアハーバー近くです。

この辺りで、デモが起こる可能性が高いので、今後も気をつけた方がいいでしょう。

マスクを禁止した香港政府

香港政府は2019年10月4日に、デモ参加者のマスクや覆面を禁止する、「覆面禁止法」を制定しました。しかしながら、その後、新型コロナウイルスの影響もあり、「覆面禁止法」の存在意義が最高裁でも問われましたが、最終的に「マスクはデモの参加者の行動をエスカレートさせる」という理由で「覆面禁止法」が認められました。

香港デモ(2020年)は「香港国家安全維持法」を巡り発生

香港国家安全維持法とは?何が問題?

デモ隊は中国政府にとって脅威になるため、それごと抑えるために発布された法律が「香港国家安全維持法」です。

この法律下では、以下のことができません。

  • 国家の分裂誘導
  • 政権の転覆への誘導
  • テロ行為
  • 外国勢力と結託すること

つまり、デモを行おうとすると、国家を分裂させる意思があるとみなされて逮捕される可能性があるのです。その「香港国家安全維持法」が2019年の香港デモの1年後である、2020年6月30日に施行されました。

ちなみに7月1日はイギリスから香港が返還された日です。毎年このタイミングでデモが起こるため、それを防ぐ目的で前日に施行されたと言われています。

また、このタイミングで「国家安全維持公署」が香港に作られて、300人ほどの中国の職員が治安維持のために香港に常駐するようになりました。

「香港国家安全維持法」で香港はどうなる?日本人への影響は?

おそらく多くの人が関心を抱いているのが、「香港国家安全維持法によって日本人も捕まる」という噂です。これは本当です。

この香港国家安全維持法の第38条には、「香港特別行政区の永住権を有しない者が、香港特別行政区外で、 香港特別行政区に対して、本法が規定した犯罪を実施した場合、本法を適用する。」と明記されています。

つまり、香港特別行政区外に日本は含まれるので、日本で中国政府や香港政府を批判した場合逮捕される可能性があります。しかしながら、この場合でも中国警察は越境して捜査できないので、まる心配はありません。

しかしながら一方で、旅行に行った場合や飛行機の乗り換えで中国や香港を訪れた場合、拘束される可能性はゼロではありません。

 

「香港は死んだ」と香港通の人たちが嘆いているのはそういう理由があったのです。

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大規模デモが終わった後にリーダーは相次いで逮捕

香港の民主化のリーダーとして有名なジョシュア・ウォン(黄之鋒) 、民主化の女神としておなじみのアグネス・チョウ(周庭)は2019年8月30日に逮捕されました。「無許可の集会に参加するよう人々をあおった」疑いと、「無許可の集会に意識的に参加した」という疑いがあったと言われています。

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たったそれだけのことで逮捕されるのは日本人からすると信じられませんが、 一部ではこれ以上過激なデモをさせないために見せしめとして逮捕されたとも言われています。

 

特にアグネス・チョウは日本語も堪能でよく日本まで来て、記者会見を開き香港の民主化活動について訴えていました。 また、彼らのデモ団体であるデモシストは2020年6月30日に香港国家安全維持法が施行されたタイミングで解散しました。

そしてまた、2020年8月10日にアグネス・チョウは香港国家安全維持法違反容疑で逮捕されました。分離主義を扇動したとして逮捕されていますが、デモシストは国安法の制定と同時期に解散しています。

つまり、過去に遡って逮捕されたということになるので、これも世界を震え上がらせました。

まとめ

中国政府の香港に対する統制は年々厳しくなっています。このメディアでもアグネス・チョウ氏に取材しましたが、「香港に来ない方がいい」と言われました。つまり香港の未来は暗くなる一方です。

しかしその一方で、日本から遠くない同じ東アジアで自由のために戦う人々がいるということを日本人はしっかりと知る必要があるかもしれません。

ぜひこの記事を参考にしてみてください。

 

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