北朝鮮と日本の国交を回復するためには、拉致問題の解決が大事だと言われています。
この拉致問題はどういったもので、日本の被害者は誰がいるのでしょうか。
簡単に分かりやすくご説明します。
北朝鮮の拉致問題とは
拉致問題をわかりやすく理解
北朝鮮の拉致問題とは、簡単に言うと誘拐事件です。
北朝鮮国内で人々が拉致されて行方不明になったのではなく、外国で普通に暮らしていた人が突然行方不明になります。その原因を詳しく調べてみると、北朝鮮の工作員が外国に忍び込んで人を誘拐していたということが分かりました。これが拉致問題です。
拉致問題の現在
拉致問題は今もなお未解決のままです。2021年時点で日本政府が認めた拉致被害者17名中、5人は帰国していますがあとは北朝鮮に残されています。また、北朝鮮に拉致された疑いがある人物は2016年時点で883人もいます。
拉致問題が長期化したことによって、拉致被害者の家族が高齢化しています。そのため、再会ができないまま死去してしまう家族もいて、早期解決が急がれています。
日朝間の拉致問題の歩み
元来、北朝鮮は「拉致問題は存在しない」といって拉致問題を否定していましたが、2002年に平壌で行われた日朝首脳会談で初めて、当時の最高指導者である金正日(キムジョンイル)が拉致問題の存在を認めて謝罪しました。
北朝鮮は日本政府が拉致被害者と認定していた13名のうち、4人は生存、8人は死亡、1人は入国しているか不明と表明しますが、死亡していると裏付ける証拠がありませんでした。
そして、日本政府の要求によって拉致被害者5人(地村保志さん・富貴惠さん、蓮池薫さん・祐木子さん、曽我ひとみさん)が帰国します。
その後も日本政府は北朝鮮に対して拉致問題の解決を求めますが、拉致や核問題など問題は複雑化して他の拉致被害者は帰国できていないままです。
拉致をする目的
北朝鮮は以下のような目的で外国人を拉致していました。
- 拉致してスパイとして活動させる
- 工作員の外国語教育係りを探すため
北朝鮮は、昔から朝鮮半島を統一しようと試みていました。そのため、韓国を解体しようと北朝鮮から工作員を送ろうとしていましたが、北朝鮮国籍の人物が韓国に入国する難易度は高かったため、日本人を利用、または日本人を装って韓国に工作員を送り込んでいました。
また、日本人のような人物を育てるために、拉致したネイティブの日本人に日本語教室を開かせるなどといったこともしていました。
拉致被害者の生活
実際に北朝鮮に拉致されていた蓮池薫(はすいけかおる)さんのインタビューによると、拉致被害者は自由がなく外部との接触が許されない代わりに生活面や医療面はきちんと面倒を見てもらえていたといいます。
拉致被害者の国別人数
産経新聞が2015年にまとめたものによると、拉致被害者の国別人数は以下のようになっています。
国籍 | 人数 |
---|---|
韓国 | 517(朝鮮戦争後) |
日本 | 17(日本政府が認定) |
マレーシア | 4 |
レバノン | 4 |
フランス | 3 |
イタリア | 3 |
中国(マカオ) | 2 |
オランダ | 2 |
オランダ | 1 |
タイ | 1 |
シンガポール | 1 |
ヨルダン | 1 |
ルーマニア | 1 |
北朝鮮の拉致被害者
北朝鮮による拉致被害者は多くの国で発生していますが、日本国内でも発生して未解決のままです。
拉致被害者と事件発生場所
失踪日時 | 名前 | 当時の年齢 | 失踪場所 | 現在 | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1977年9月19日 | 久米裕(くめゆたか) | 52 | 石川県 | 北朝鮮は入境を否定 |
2 | 1977年10月21日 | 松本京子(まつもときょうこ) | 29 | 鳥取県 | 北朝鮮は入境を否定 |
3 | 1977年11月15日 | 横田めぐみ | 13 | 新潟県 | 北朝鮮は死亡と主張 |
4 | 1977年6月頃 | 田中実(たなかみのる) | 28 | 兵庫県 | 北朝鮮は入境を否定 |
5 | 1977年6月頃 | 田口八重子(たぐちやえこ) | 22 | 不明 | 北朝鮮は死亡と主張 |
6 | 1977年7月7日 | 地村保志(ちむらやすし) | 23 | 福井県 | 帰国 |
7 | 1977年7月7日 | 地村富貴惠(ちむらふきえ) | 23 | 福井県 | 帰国 |
8 | 1977年7月31日 | 蓮池薫(はすいけ かおる) | 20 | 新潟県 | 帰国 |
9 | 1977年7月31日 | 蓮池祐木子(はすいけゆきこ) | 22 | 新潟県 | 帰国 |
10 | 1977年8月12日 | 市川修一(いちかわしゅういち) | 23 | 鹿児島県 | 北朝鮮は死亡と主張 |
11 | 1977年8月12日 | 増元るみ子(ますもとるみこ) | 24 | 鹿児島県 | 北朝鮮は死亡と主張 |
12 | 1977年8月12日 | 曽我ひとみ | 19 | 新潟県 | 帰国 |
13 | 1977年8月12日 | 曾我ミヨシ | 46 | 新潟県 | 北朝鮮は入境を否定 |
14 | 1980年5月頃 | 石岡亨(いしおかとおる) | 22 | ヨーロッパ | 北朝鮮は死亡と主張 |
15 | 1980年5月頃 | 松木薫(まつきかおる) | 26 | ヨーロッパ | 北朝鮮は死亡と主張 |
16 | 1980年6月中旬 | 原敕晁(はらただあき) | 43 | 宮崎県 | 北朝鮮は死亡と主張 |
17 | 1980年7月頃 | 有本恵子(ありもとけいこ) | 23 | ヨーロッパ | 北朝鮮は死亡と主張 |
帰国しているのは、以下の人々です。
- 地村保志(ちむらやすし)
- 地村富貴惠(ちむらふきえ)
- 蓮池薫(はすいけ かおる)
- 蓮池祐木子(はすいけゆきこ)
- 曽我ひとみ
また、横田めぐみさんは拉致された当時、13歳の中学生でした。バトミントン部の練習が終わってから帰宅する途中に連れ去られました。
2002年には金正日が「横田めぐみさんは死亡している」と言って2004年に北朝鮮が横田めぐみさんの遺骨を差し出します。しかし、DNA鑑定したところ全くの別人の骨だということが分かりました。
現在も横田めぐみさんは生きているとも言われており注目されています。
まとめ
今回は北朝鮮の拉致問題を取り上げました。
北朝鮮は工作活動のために拉致を行い、日本も被害者を出しています。しかし、まだ拉致問題は全面解決していません。
拉致被害者本人と家族も高齢化する中、一刻も早い解決が望まれます。
北朝鮮と日本の国交を回復するためには、拉致問題の解決が大事だと言われています。 この拉致問題はどういったもので、日本の被害者は誰がいるのでしょうか。 簡単に分かりやすくご説明します。 目次 1 北朝鮮の拉致問題とは1.1 拉致問題をわかりやすく理解1.2 拉致問題の現在1.3 日朝間の拉致問題の歩み […]
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