日本の防衛費が2027年にかけて増額されることが決まりました。
最近、防衛費の増額に関してニュースになることがとても多いですが、なぜ防衛費を増額する必要があるのでしょうか?また、反対意見も出てきています。
それから財源をどうやって確保するのかという問題も生まれてきています。
そこで今回は、日本の防衛費増額についての意見や理由、財源などをご紹介します。
防衛費とは?簡単に説明
防衛費(英語:defence expenditure, defense expenditure)とは、幅広く言えば日本を守るために必要なお金です。
防衛と聞くと兵器を購入するための金額を思い浮かべますが、自衛隊の人件費や食糧、それから米軍駐留に関するお金など総合したお金を指します。
ちなみに、2022年現在は日本の防衛費はGDPの1%程度という暗黙の了解があります。これが国際環境の変化によって、GDP比で2%に増額する方向で動いています。つまり2倍に倍増ですね。金額にすると防衛費は10兆円です。
日本の防衛費の内訳と推移
防衛省が発表しているデータによると、防衛費の内訳は以下のようになっています。
人権食糧費が42.8%、維持費が22.7%、装備品購入が17.9%と上位を占めています。
同じく、日本の防衛費推移も防衛省がデータを発表しています。
実は日本の防衛費は近年、2021年までほぼ右肩上がりで増加しています。
ちなみに、グラフで下がっているのは構造改革を行った小泉政権の時で、自衛隊の効率化が見直されて防衛費も少なくなりました。
日本政府が防衛費を増額させる理由!メリットは?
日本政府が防衛費を増額させる理由は、日本を取り巻く周辺環境が変わってきたからです。
そのため、防衛費を増額させて得られるメリットは、日本で安全に暮らせるようになることです。
たとえば、以下のようなことが起こっています。
- 中国の海洋進出による尖閣危機
- 台湾有事の可能性の高まり
- 北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイル発射
- 北方領土を巡るロシアとの緊張
尖閣問題や北方領土問題、それから北朝鮮問題は今に始まったことではありません。
しかし、危機の度合いが上がってきているのです。
防衛費の世界ランキングで日本は何位?
こちらが、世界銀行が2020年に発表した防衛費ランキングです。
ランキング | 国名 | 防衛費(USドル) |
---|---|---|
1位 | 米国 | 778,232 |
2位 | 中国 | 252,304 |
3位 | インド | 72,887 |
4位 | ロシア | 61,713 |
5位 | イギリス | 59,238 |
6位 | サウジアラビア | 57,519 |
7位 | ドイツ | 52,765 |
8位 | フランス | 52,747 |
9位 | 日本 | 49,149 |
10位 | 韓国 | 45,735 |
アメリカが圧倒的ですが、それに中国やインドといった国々が続いています。
一方で日本は第9位で、韓国と同じくらいの位置にあります。日本は慣例に従って、GDPの1%程度でしたが、韓国はGDPの2%以上を防衛費につぎ込んでいます。
日本の防衛費が少ない理由
日本の防衛費が少ないと言われる理由は、経済規模から考えて防衛費の額面が少ないからです。
たとえば、ヨーロッパ諸国が加盟しているNATO(北大西洋条約機構)はGDP比で2%の防衛費捻出が求められています。
こうした国際的な風潮に比べて少ないので日本の防衛費の少なさが話題に上がります。
そして、なぜ日本が防衛費を引き上げられないかというと、1976年の三木武夫内閣が、防衛費は国民総生産(GNP)比1%を超えないことを表明したからです。1954年に自衛隊が発足して日本の防衛費は拡大し続けるのではないかという懸念が日本国民にありました。
それに対処するために大枠を設定してその前例を踏襲しています。しかし、現在は当時と状況が異なるので再び議題となっています。
防衛費に関する賛成意見と反対意見
防衛費の増額に対して賛成意見と反対意見で分かれています。
賛成意見
防衛費増額に賛成する人々は以下のような意見を主張しています。
- 日本を外敵から安全に守れる
- アメリカとの関係をより強固にできる
- 戦争を未然に防げる
まず、大前提として防衛費増額は防衛を強化することと同じ意味なので、日本を外敵から安全に守れるようになります。中国や北朝鮮が日本の領土や安全を脅かしているので、それに見合った防衛は整えて当然という考え方です。
そして、日本には日米同盟があって、日本が世界大戦以後に大きな戦争に巻き込まれなかったのはこのおかげだと言われています。しかし、アメリカも経済が失速しており日本を全て守れると言えなくなりました。足りない分を防衛費増額でカバーしてアメリカを安心させるというものです。
また、防衛費増額は危機に備えるということなので、戦争を未然に防げる可能性があります。戦争が発生してからでは、死者も出ますし街も壊されます。多大な被害を出すより防衛費を増額させて未然に防ぐ狙いがあります。
反対意見
防衛費増額に賛成する人々は以下のような意見を主張しています。
- 周辺国を刺激することになる
- 子育てなど他にお金を使うべき
- 国民の負担が増える
防衛費の増額は軍事費の増額なので、軍拡と周辺国に解釈されたら日本が戦争が煽っていることになります。
そして、防衛という名目でアメリカから兵器を爆買いすることもあります。そのお金を国内経済や子育てに使った方がよっぽど国のためになるという意見です。
それから1番重要なのが国民の負担が増えることです。防衛費を増額するために増税を行う方針が決まってから、増税で国民を苦しめるのに、どうやって国民を守るのかと批判されています。
日本の防衛費増額の財源
日本が防衛費を増額する際に財源として検討されているのは、以下のようなものです。
- 歳出改革
- 剰余金の活用
- 国有資産の売却
- 税金収入
歳出の改革を行って、お金が必要のないところから防衛費に持ってきます。そして、予算を組んで使い切れなかった余剰金を防衛費に充てます。また、国有資産を売却して資金繰りを行います。
ちなみに、円安で膨れ上がった日本の外国資産や新型コロナウイルスの対策で病院に流れたお金を活用する動きもあります。
一方で、国民や企業が負担するようになる法人税、所得税、消費税も視野に入っています。当面は法人税を軸とするようですが、個人に直接負担のかかる所得税や消費税も増税して財源とされる不安が高まっています。
まとめ
今回は日本の防衛費増額についてご紹介しました。
日本の防衛費はGDP比で1%ですが、2%にする動きが出てきています。その理由は日本を取り巻く国際環境の変化や、NATOに合わせるからです。
また、日本はこれまで政治的な配慮で防衛費増額は表立ってしていませんでしたが世界で見れば9位、年々防衛費は増加しています。
これに関して、もっと他のことに使うべきといった意見や、安全保障を考えれば当然だという意見もあります。個人が防衛費の負担をするかどうかで意見も分かれそうです。
ぜひ参考にしてみてください。
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