アフガニスタンでは、タリバン勢力が勢いを増しています。
そんなアフガニスタンはどういった歴史を歩んできたのでしょうか。また、アメリカはなぜアフガニスタンに侵攻して撤退を決めたのでしょうか。
簡単にわかりやすく説明します。
アフガニスタンの簡単な近代の歴史
アフガニスタンは18世紀に独立をしましたが、イギリスとロシアの勢力争いに巻き込まれてイギリスの保護国になります。そして、1919年に独立をしましたが、今度はロシア(当時はソ連)の影響で共産主義政権ができていました。
ここから第二次世界大戦後の1979年にソ連軍の介入によって現在に到る混乱の歴史を辿ります。
ソ連のアフガニスタン侵攻
1979年にソ連はアフガニスタンに侵攻します。
1978年にアフガニスタンで共産党政権が樹立されましたが、これに対してイスラム法学者などが「伝統の破壊」を理由に反発します。このイスラム勢力に対処するために、ソ連が侵攻しました。
この時に、アフガニスタンから隣国のパキスタンやイランに難民が発生しました。
そして、1989年にソ連軍はイスラム勢力を抑えられずに全軍を撤退することになります。
ソ連不在でアフガニスタン内戦
ソ連という外敵が消えたことによって、アフガニスタン国内で争いが起こるようになります。これがアフガニスタン内戦です。
隣国のパキスタンなどの介入があって、タリバン(ターリバーン)勢力が力を握るようになります。
タリバンとアルカイダの違い
タリバンとは
タリバンはアフガニスタンで活動するスンニ派の組織です。
タリバンは「学生」という意味です。これはイスラム神学校の学生が中心となって結成されたからです。
1994年に武装勢力として頭角を表してから、1996年に首都のカブール、2000年に国土のほぼ全てを支配します。
また、イスラム教に基づくタリバンの政治政策や思想には以下のようなものがありました。
- 聖者崇拝を禁止
- 歌や踊りなどの娯楽を否定
- 女性教育の否定
コーランの原理原則を国民に強制します。
そして、タリバン政権としてサウジアラビアを動かすことになります。
アルカイダとは
アルカイダは国際テロ組織で、欧米諸国とイスラエルに対してテロ行為に及んできました。1988年、ソ連軍対する抵抗運動を繰り広げていたウサーマ・ビン・ラーディンを中心に結成されました。
また、2001年のアメリカの同時多発テロを引き起こした組織がアルカイダでもあります。
事件当時は、アフガニスタンに滞在していました。
アメリカのアフガニスタン侵攻から撤退まで
2001年の同時多発テロが発生してから、アメリカはタリバン政権に事件の首謀者であるアルカイダのウサーマ・ビン・ラーディンの身柄の引き渡しを要求します。しかし、タリバン政権はこれを拒否するのでした。
そして、2001年にアメリカはアフガニスタンに侵攻します。そして、首都のカブールを奪還してアメリカの監視のもとで暫定政権が発足しました。一方のタリバンは勢力を後退させますが、残党はまだ過激な活動を続けていました。
ちなみに、このブッシュ政権下のアフガニスタン侵攻や2003年のイラク戦争で、アメリカ軍がイスラム社会におけるタブーを続々と犯してしまったため、アメリカはイスラム社会から憎悪の対象になっていました。
その後、2008年にアメリカでオバマ政権が発足しますが、彼は選挙中にアフガニスタンから米軍を撤退させることを表明していました。しかし、結局戦争を終わらせることはできませんでした。
それから2017年にトランプ政権が誕生します。そして、2020年にはタリバンと和平合意を結んで2021年5月1日までに完全撤退を宣言します。
2021年にバイデン政権に変わり、アフガニスタンに駐留する米軍を9月11日までに完全撤退させることを表明しました。
なぜアフガニスタンから米軍は撤退するのか
米軍がアフガニスタンから撤退する理由は以下の通りです。
- アメリカの死者、負傷者数の増加
- アフガニスタンの民間人の死者を出した
- アメリカの戦争費用の増加
アメリカは、ピーク時に9万人をアフガニスタンに派遣して、米軍の死者は約2430人、負傷者は2万2000人余りを出しました。
また、アフガニスタンの民間人の死者数は10万人を超えています。誤爆などの犠牲になりました。
そして、アメリカの戦争費用は7700億ドル(約88兆円)と発表しています。しかし、障害を負ってしまった兵士の治療費などを含めるとまだ3倍に膨らむとも言われています。
まとめ
今回はアフガニスタンの簡単な歴史とアメリカのアフガニスタン侵攻と撤退についてご紹介しました。
ソ連が介入そして撤退して、アメリカも同じ道を辿ることになりました。そして、力の空白ができてタリバンが力を握りました。
こうした経緯があったのですね。また、米軍も長引く戦争で多くの犠牲を払っています。
今後、アフガニスタンがどうなるのか注視しなければなりません。
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