こんにちは。国際政治PodcasterのM.A。です。
中国にはさまざまな問題がありますが最近話題になっているのはウイグル問題です。
ウイグル問題とは、ウイグル民族が迫害されていることですが、どういったことが起こり、なぜ発生したのでしょうか。
わかりやすく簡単に説明します。
中国のウイグル問題とは
中国のウイグルで弾圧が起こっている
中国では、ウイグル民族に対する弾圧が起こっています。
中国といえば、漢民族を思い浮かべる人が多いですが、中国にいるのは漢民族だけではありません。
漢民族は中国人の91%を占めていますが、残りの9%は55の民族で構成されています。
その中でウイグル民族は中国から独立を求めたりテロを起こしたりするので、中国政府側は危険分子とみなして強制収容所などに収容しています。そして、それが弾圧につながって国際社会から強い批判を浴びています。
具体的に何が行われている疑惑があるのか解説します。
収容所があり臓器売買やジェノサイドが行われている?
BBCなどの各報道によりますと、新疆ウイグル自治区では以下のことが行われていると言われています。
- 臓器売買
- ジェノサイド
- 収容所へ強制連行
それぞれ詳しくみてみましょう。
臓器売買
ウイグル人の臓器が強制的に取り出されて、国内で高値で売り捌かれているという疑惑があります。
世界ウイグル会議によると、2017年にウイグル人を対象とした遺伝子検査が行われました。ウイグル人はイスラム教徒で、お酒は飲まずタバコも吸いません。
そのため、臓器が綺麗なままのウイグル人の遺体から臓器が取り出されて売られるのです。
ちなみに、中国では臓器ドナーはすぐに見つかりますが、ほとんどウイグル人のものであり、年間3兆円ほどの売り上げになると言われています。
中国当局による新疆ウイグル自治区での行為は国際法上の「ジェノサイド(集団殺害)」そのものだとする報告書を、米国のシンクタ…
ジェノサイド
アメリカは中国が新疆ウイグル自治区で、ウイグル人をジェノサイド(大量虐殺)していると断言しています。
表立って殺しているわけではありませんが、ウイグル人女性を妊娠させないようにして子供を産めなくさせたり、多くの自殺者を出す環境に追い込んだりしているという報告書がアメリカのシンクタンクから出てきています。
アメリカの国務省は12日、ジェノサイド=集団虐殺に関する議会への報告書を公表しました。中国・新疆ウイグル自治区で少数民族…
収容所へ強制連行
ウイグル人が収容所へ強制連行されています。
中国はずっと強制収容所の存在すら否定していましたが、2018年に収容所は「職業訓練センター」だということを法律に明記して収容所の存在を認めました。
収容所の施設内では性的暴行や、精神的虐待、洗脳教育などがはびこっています。また、中国語の教育も強制され、拒否すると拷問が待っています。
こちらはウイグル族のモデルが内部を撮影したものです。
収容所の中では四六時中監視されており、プライバシーもありません。また、工場では無償労働されているため、人権上の大問題とされています。
中国のウイグル族はなぜ弾圧されるのか?
中国でウイグル族が弾圧されるポイントになるのは以下の3つです。
- ウイグルで過去に独立運動があった
- テロの発生
- 習近平政権は分裂を恐れる
それぞれ見ていきましょう。
①ウイグルで過去に独立運動があった
新疆ウイグル自治区では、1955年に中国の自治区となってから何度か独立運動が起こります。この裏には、文化大革命での社会混乱などもありました。
たとえば、1989年の天安門事件直前に数千人規模の独立に関しての乱闘が起っています。
また、中国が支配する前の新疆ウイグル自治区には東トルキスタン共和国が1944年から1946年まで存在していました。そのこともあって、東トルキスタンとして独立する勢力が一定数いる地域なのです。
当然、中国としては自国から独立する勢力は許せないので、必死に押さえ込もうとします。
もし、許してしまえば、独立運動の流れが香港や台湾にも広がってしまう恐れがあります。
②テロの発生
近年では、2009年に漢民族によるウイグル人暴行殺害事件が起ったのがきっかけで、ウイグル事件が発生します。3,000人のデモ隊と武装警察が対峙する事態になり、およそ200人の漢民族が死亡しました。
そして、その後は何度か爆破事件が起こりますが、2014年4月30日に発生したウルムチ駅爆発事件は習近平政権に大きな衝撃を与えました。この事件の直前に習近平は新疆ウイグル自治区を視察していました。
習近平の命も狙われそうになって、中国政府はテロ対策の一環として新疆ウイグル自治区への圧力を強めます。
【北京=山田周平】中国の国営新華社は3日、新疆ウイグル自治区カシュガル地区ヤルカンド県で7月28日起きた襲撃事件で、死者…
③習近平政権は分裂を恐れる
中国から新疆ウイグル自治区が仮に独立、もしくはデモが発生すると他の場所でも同じようなことが起こる可能性があります。特にわかりやすいのが、連日報道されている香港です。ウイグルでデモが起ったことで、その勢いを借りて香港でもデモが加速するかもしれません。
そして、さらに中国国内にもデモが飛び火してしまったら、中国政府は手に負えません。だから、分裂の火種となる新疆ウイグル自治区は徹底的にコントロール下に置きたいのです。
中国のウイグル問題は日本にも影響がある
日本企業も中国のウイグル人の弾圧に間接的に加担していました。
なぜならば、新疆ウイグル自治区では強制労働が行われていたとして、新疆ウイグル自治区に工場がある会社などと取引すると日本企業も間接的に強制労働をさせる側になるからです。
ウイグルの強制労働に加担したと言われる日本企業のリスト
以下の日本企業はウイグル人を間接的に強制労働させていることが明らかになりましたが、後にウイグル人を弾圧する企業と取引停止を発表します。
- 日立製作所
- ジャパンディスプレイ
- 三菱電機
- ミツミ電機
- 任天堂
- パナソニック
- ソニー
- TDK
- 東芝
- ファーストリテイリング(ユニクロ)
- シャープ
- 良品計画
わたしたちにできることは?
わたしたちにできることは、ウイグル問題についてまずは関心を払うことです。ウイグルの事件についてあまり報じられませんが、自ら進んで情報を取りにいき現状を理解するようにしましょう。
また、ウイグル弾圧に加担する会社の製品を買わないことも大切です。
中国のウイグル自治区の場所は?観光できる?
ウイグル自治区は中国の西部にあります。
人口と最大の都市
最大の都市はウルムチ市です。
ウイグル自治区はウイグル民族が45%なのに対して、漢民族は41%という比率になっています。
1950年には、漢民族は7%しかいませんでしたが、大量に漢民族を入植した結果、漢民族の比率が大きくなりました。
ウイグルの簡単な歴史
ウイグルはもともと西域と呼ばれ、イスラム圏や中央アジアとの関係が強いです。
隋、漢、唐の時代には中国王朝がウイグルを支配しましたが、それ以外は異なった歴史を歩んでいます。そして、18世紀後半の清の時代に再び中国王朝の支配が強まり、後にウイグル人による反乱などは何度かありましたが、1949年に中国がウイグルに侵攻して、そのまま中国の領土になります。
そして、1955年に新疆ウイグル自治区が設置されました。
観光はできる?
ウイグルの観光は可能です。中国でありながらイスラムの空間を楽しめることで大変人気があります。
しかし、その一方で過去にはウイグル人による自爆テロが発生したことや、武装した警察や監視カメラがいたるところにあって窮屈に感じるかも知れません。
また、パスポートの検査や写真撮影の可否などかなり厳格です。
まとめ
今回はウイグル問題についてご紹介しました。
新疆ウイグル自治区では人権を踏みにじるような弾圧が行われているという疑惑が深まっています。
他人ごとだと思うのではなく、もしこれが家族だったらどうしようと、関心を払うのが一番かもしれませんね。