台湾は日本人にとって人気の旅行地ですが、なぜ人気なのでしょうか。
また、親日で有名ですが、中国語を彼らは喋るのに中国ではありません。
ここにはどういった背景があるのでしょうか。簡単にわかりやすくご説明します。
台湾はなぜ人気なのか
台湾は以下の理由で日本人から人気です。
- 日本から距離が近いこと
- グルメが美味しいこと
- 治安がよくて人々が優しいこと
それでは、それぞれを解説していきます。
理由その①:日本から距離が近い
まず、台湾は日本からの距離がとても近いです。
航路 | 時間 |
東京から台北 | 4時間10分 |
大阪から台北 | 3時間20分 |
名古屋から台北 | 3時間20分 |
福岡から台北 | 2時間30分 |
札幌から台北 | 4時間30分 |
番外編:ソウルから台北 | 2時間25分 |
東京から直行便で4時間、大阪からだと3時間程度です。国内便より少し時間をかけるくらいで、台湾に飛べてしまいます。ヨーロッパや東南アジアに行くよりも近いので、弾丸や日帰り旅行も楽しめるのです。
理由その②:グルメが美味しい
台湾には美味しいグルメがたくさんあります。以前、CNNが行った調査では、グルメ旅の世界ランキングでヨーロッパを抑えて台湾は1位を獲得しています。タピオカミルクティーや小籠包など日本でも人気のグルメが台湾でリーズナブルに食べられます。
理由その③:治安がよくて人々が優しい
台湾は治安がよく、イギリスのエコノミスト誌の世界治安ランキングでは、台湾は28位にランクインしています。アジアでは日本が9位、シンガポールが17位、香港が24位の次です。外務省の危険度指数も良好で、女性がひとりで安心して夜道を歩けます。
台湾はどんなところ
台湾はどのようなところなのか、日本人に人気の代表的な観光地についてご紹介します。日本人が訪れる場所は以下のみっつです。
- 台北
- 九份
- 高雄
台北
台北は台湾の首都で、台湾中から人々が集まる場所です。台湾の経済と政治が全て集まっているので、台湾の最先端を感じたい人にはぴったりです。
一番日本人慣れしていて、街中のいたるところで簡単な日本語が通じます。安全で危険はないので、海外旅行初心者であっても楽しめる街です。
九份
九份は台北からバスで1時間30分程度の街で、ノスタルジックで昔懐かしい雰囲気が残っています。
日本人と韓国人に人気の観光地でもあり、後にガセネタだと判明しましたが、アニメ「千と千尋の神隠し」の舞台になったとも言われていました。
高雄
高雄は台湾の第二の都市で、南部に位置しています。台北に比べて晴れの日が多く、さらに暑いです。しかし、街並みは混み込みとしている台北と異なって、開けて歩きやすいです。
台北に飽きて台湾の他の都市を見てみたいという人が真っ先に訪れるのが高雄です。台北同様に日本語が話せる人が多いですが、高雄の方がもっとおもてなしをしてくれる人が多くて、人情味が深いです。
台湾はなぜ親日なのか
台湾がなぜ親日なのかというのは、台湾の歴史に答えがあります。ポイントはふたつです。
- 台湾は日本の統治を受けた
- 日本の敗戦後、国民党がやってきた
台湾は日本の統治を受けた
台湾は1895年から1945年まで日本の統治を受けました。日清戦争の下関条約で清から日本の領土になり、第二次世界大戦で日本が敗北したことで日本の統治が終わりました。
日本の統治時代は決してよいことばかりはなく、日本と現地人との間に紛争が起こっています。一方で、それ以上に日本は台湾を開発して発展させたという面もあります。
特にインフラの整備です。日本が統治する前の台湾は疫病の蔓延がひどくて、「台湾の水を5日間飲むと死ぬ」と言われていたほどです。それを後藤新平という政治家が上水道を配備します。
さらに乾燥がひどかった台湾の南部に八田與一(はったよいち)という人物が当時世界最大のダムを建設します。そのおかげで台湾の農業は劇的に発展しました。
日本統治時代に台湾は近代化したという事実が台湾人が親日な理由のひとつです。
日本の敗戦後、国民党がやってきた
日本が敗戦した後、中国大陸から中国国民党がやってきました。中国国民党は蒋介石(しょうかいせき)という人物をトップにして台湾の統治に乗り出すのですが、この統治が日本時代に比べてあまりにも酷かったのです。
国民党関係者の強盗事件や、汚職事件が日常茶飯事でした。
この一連のできごとを経て、「犬が去って、豚が来た」という言葉が台湾では残っています。犬は日本人のことでうるさいがきちんとやることはやる様子、豚は中国国民党のことで文句は言うけど何もしない様子を表しています。
そして、堪忍袋の切れた台湾の現地人たちは、政府に対して反乱を起こします。これが二・二八事件で、政府は武力で鎮圧します。
このときの死者数は明らかにされていませんが、台湾の政府が1992年に発表したデータでは1万8000人から2万8000人が亡くなったと言われています。また、この事件以降、蒋介石は台湾を恐怖政治で統治するのでした。
日本統治時代はそういった事件は起こらなかったので、「日本の時代はよかった」と考える台湾人が増え、親日になったとも言われています。
台湾はなぜ中国語を喋るのに中国ではないの?
台湾の公用語が中国語な理由
台湾の公用語は中国語で、台湾では國語(グオユー)と呼ばれています。しかし、台湾と中国では文字が異なり、一部語彙が異なります。
実はもともと、台湾は中国語を話していた訳ではありません。日本統治時代は日本語が話されていましたし、台湾には台湾語や先住民の言葉が存在します。
日本に変わって中国国民党が台湾を統治し始めてから、中国語が台湾社会に浸透していきます。つまり、それまでの日本語を喋る社会から中国語を喋る世界へと移り変わったのです。この背景には、元「日本人」の台湾人を「中国人」にするという政府の狙いがありました。
ちなみにこのときに、政府は台湾に入ってくる日本文化を徹底的に断絶して、国民が親日にさせるのを防ぎました。
中国ではない理由
台湾は中国ではない理由を簡単に説明すると、台湾と中国を統治している政府が別々だからです。
もともと、中華民国という国が中国大陸にあって、中国国民党と中国共産党という二大勢力がいました。中国国民党と中国共産党は国内で戦争を起こして、敗れた中国国民党は台湾に逃げ込みます。
そして、中国国民党は台湾を統治して、大陸に残った中国共産党は中華人民共和国を建国して中国大陸を統治します。
他にもさまざまな理由がありますが、歴史が異なるのです。
台湾はなぜ独立できないの?
台湾が独立できないのは、中国と台湾が戦争になってしまうからです。歴史的に中国が台湾を統治したことはありませんが、中国と台湾は海峡を挟んで戦争寸前になったことがあります。
中国を統治する中国共産党は自らは中華民国を受け継いだ国家と言っていて、中華民国の領土に台湾が属するならば、中華民国の継承国家である中国のものだという考えを持っています。
反対に中華民国側の台湾、中国国民党は、中国大陸は自分たちの領土であるという考えを持っていて、いずれ中国本土を侵略して台湾と中国大陸の全てを支配するつもりでした。
しかし、時代と共にリーダーや考えが変わってきて、大陸に攻め込むとは考えないようになります。また、中国の経済力や軍事力が大きく向上して、台湾を上回るほどになりました。
そこで、台湾は台湾であるということを認めた上で独立という考えも出てきますが、中国は台湾は中国の一部だという考えを捨てていないので、台湾が大陸に攻め込まないでも独立という素振りを見せただけで武力で鎮圧する可能性があります。
そのため、事実上独立していても、独立できないという問題になっているのです。
まとめ
今回は台湾に関する素朴な疑問の回答をご紹介しました。
台湾は距離の近さやグルメのおかげで人気で、歴史が理由で台湾は親日国になったのでした。また、台湾の中国語の歴史は浅くて、中国と台湾の複雑な問題があるので、独立できないのです。
ぜひ、この記事を参考にしてみてください。