2020年にアルメニアとアゼルバイジャンの間で紛争が発生しました。
ナゴルノカラバフ紛争とも呼ばれて、最新鋭の兵器が使われたとしても話題です。
そんなナゴルノカラバフ紛争はなぜ起こり、どういった結末を迎えたのか簡単にわかりやすく解説します。
アルメニアとアゼルバイジャンの戦争
2020年に発生したアルメニアとアゼルバイジャンの戦争は、ナゴルノカラバフ紛争とも呼ばれます。
これはナゴルノカラバフという地域の領土がアルメニアに属するのか、アゼルバイジャンに属するのかで争われた紛争だからです。
この戦争の結果、アゼルバイジャンが勝利しました。
詳しく見ていきましょう。
ナゴルノカラバフ紛争が起こった背景
ナゴルノカラバフは、アゼルバイジャンに周りを囲まれています。また、アルツァフ共和国とも呼ばれることもあります。
この土地はアゼルバイジャンに囲まれた地域になりながら、人口の70%がアルメニア人でした。
また、アルメニアとアゼルバイジャンは以下のような主張をしています。
- アルメニア
数千年に渡ってアルメニア文化の中心地だったと主張 - アゼルバイジャン
アルメニアより早くに定住してカフカース・アルバニア王国を建国していたと主張
このように古くから対立してきましたが、アルメニアとアゼルバイジャンはもともと、ソ連の一部だったのでソ連時代は問題は棚上げされていました。
しかし、ソ連が崩壊する頃から問題が再熱し始めました。
ナゴルノカラバフ紛争は過去にも発生
第一次ナゴルノカラバフ紛争はソ連崩壊前後の1988年から1991年まで発生しました。その結果、ビシュケク協定が両国間で結ばれて停戦に至り以下のような変化がありました。
- アルメニア側勝利
- アルメニアとアゼルバイジャンが国交断絶(1991年〜)
- トルコがアルメニア側の国境を封鎖(1993年〜 )
- ナゴルノカラバフがナゴルノ・カラバフ共和国として事実上独立
- アルメニアがナゴルノカラバフを占領
ちなみに、トルコはアルメニアと民族、言語的にも近く友好的です。
一方、トルコはオスマン帝国時代、アルメニア人を虐殺しており、これが原因でトルコとアルメニアの関係は冷え切っています。
2020年にナゴルノカラバフ紛争の勃発
ナゴルノカラバフ紛争はアゼルバイジャンが開戦したと言われています。
代表的な説として以下のようなものがあります。
- アルメニアのナゴルノカラバフでの影響力増加を懸念
- 経済不況とコロナの不満を国民から逸らしたかった
- アルメニアの内政変化によりチャンスと考えたから
戦争では多くの近代兵器が用いられた
アゼルバイジャンは近代的な兵器を使用して戦争に勝利しました。具体的にはAIドローンの使用です。
AIドローンは兵士の持つ電子製品から兵士の居場所を特定して攻撃することが可能です。アゼルバイジャンはトルコからこの最新鋭の兵器を提供してもらって戦争を勝利に導きました。
また、ターゲットを見つけると自動的に突っ込んでいくイスラエル産の自爆ドローンも多用しました。
ちなみにTwitterなどのSNSを利用した両国のプロパガンダ合戦も話題になりました。
ロシアはなぜ積極的に関与しなかった?
イスラエルやトルコがアゼルバイジャンを支持する一方で、フランスやイランはアルメニアを支持しましたが国連など多くの国は停戦を求めました。
そして、アメリカやロシアの働きかけのもとで最終的に停戦に至ります。
ちなみに、ロシアはアルメニアなど旧ソ連5カ国とともに集団安全保障条約機構(CSTO)を結んでいて、加盟国が攻撃を受けたら同盟国が反撃をし返すことになっています。
しかし、ロシアはナゴルノカラバフが正式なアルメニア領ではないという理由で積極的に関与しませんでした。
旧ソ連地域であり、ロシアの存在が大きいのですがロシアが積極的に関与してこなかったのは、アルメニアとの関係をうまく扱うためでした。
ロシアはアルメニアに武器を提供していましたが、実は2018年にアルメニアで民主主義革命が起こり親露政策の見直しと欧米側への接近が目論まれていました。
この紛争でアルメニアの敗北が確実になれば必ずロシアの助けを必要とするので、アルメニアが親露の立場を取るだろうと考えていたのです。
また、表立ってアルメニアの支援を行えば、アゼルバイジャンとロシアの関係が悪くなります。そのため、アルメニアに敗北してもらった方がアゼルバイジャンと関係を悪化させない上、ロシアがナゴルノカラバフに平和維持部隊を置くこともできるのです。
したたかに勝利したのはロシアかもしれません。
まとめ
今回はナゴルノカラバフ紛争についてご紹介しました。
アルメニアとアゼルバイジャンの間には紛争の火種があって、今回の紛争が勃発しました。
また、地域の大国であるロシアの立ち回りも注目するべきポイントです。
ぜひ、参考にしてみてください。
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