アメリカが中国の知的財産権侵害を主張?知財戦争をわかりやすく解説

中国の知的財産権侵害が話題になっています。

知的財産権とは、物やアイデアなどには財産的な価値があるという権利のことです。

この知的財産権がなぜ中国によって侵害されたことになっているのでしょうか。

簡単にわかりやすく解説します。

中国の知的財産権侵害とは

中国の知的財産権侵害は、2018年に問題化しました。

アメリカのハイテク産業は世界をリードするような技術を持っています。中国がそのアメリカの技術を移転させたり、盗んだりしているという疑惑があって制裁関税の導入にいたりました。

アメリカが中国の知的財産権侵害を指摘

アメリカは第二次世界大戦後、アメリカの国内の技術と商業を発展させるために特許制度を活用してきました。この特許制度は何かを作成したモノから形のないアイデアやソフトウェアにも広がります。これが知的財産権です。

この知的財産権のおかげでディズニーやハリウッドなどが大きく成長しました。そして、現在でもアメリカのGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)がIT分野の知的財産権を利用して莫大な利益を得ています。

しかし、その一方ですでに中国の特許出願数は世界一となり、特にIT分野ではアメリカと肩を並べられるくらい質の高い特許をとっています。特に海外から優秀な研究者を呼び込む「仙人計画」などを行い、米国の地位を本気で取りに来ています。

そのため、アメリカ側も本気で怖がって中国の知的財産権侵害を指摘し始めたのです。

中国の知的財産権侵害の例

海賊版Windowsの販売

中国では古くから模造品が横行しており、知的財産権に関しての理解がしっかりしていませんでした。

たとえば、2007年には北京でびっくりするような事件が起きています。

当時、Windows XPの海賊版がインストールされたパソコンが国美(グオメイ)という家電量販店で販売されていました。この海賊版を購入してから数ヶ月後にすぐに故障するということが頻発していました。

購入者は国美とWindowsの開発元であるMicrosoftに対しても訴えを起こします。国美は粗悪品を勝手に販売されたことで訴えられてもおかしくありませんが、全く関係のないMicrosoftまで「正規版のWindowsをインストールさせなかった」という理由で訴えられました。

企業秘密を盗む

2019年には、中国系のアメリカ人女性がアメリカの企業の秘密を盗んで中国の会社に提供したとして逮捕されています。

アメリカ司法省によると、女性は飲料容器に関する技術を盗んで中国人に提供し、その技術を使って中国で起業をするつもりだったといいます。

航空分野でも技術盗難

2018年にアメリカの司法省は、アメリカ企業から航空機のジェットエンジンに関する技術をハッキングで盗んだ疑いで中国情報当局の職員2名を逮捕したことを発表しました。

被害にあったジェットエンジンはフランスの企業と共同開発していたのですが、同時期に中国の国営企業が同じタイプのエンジンを開発中でした。

また、ハッキングだけでなく、中国情報当局の指示を受けて社内のシステムに不正ソフトを仕掛けていました。

中国にはスパイ法「国家情報法」がある

国家情報法を簡単に説明

中国は国家情報法(中華人民共和国国家情報法)を2017年に施行しました。この法律の第7条には、「いかなる組織及び個人も、法律に従って国家の情報活動に協力し国の情報活動の秘密を守らなければならない。」と明記されています。

つまり、中国の国民と組織は中国の情報活動に対して協力することが義務付けられているのです。たとえば、仕事に関するある秘密を知っていて、その秘密を中国政府が知りたい場合、秘密を教えなければなりません。

だから海外にいても、中国政府からお呼びがかかれば機密事項でも差し出さなければならないので、スパイ法と呼ばれるのです。

ちなみに、2021年にLINEの個人情報が中国から閲覧できるようになったことが問題になっていましたが、この国家情報法があればそうした情報も中国政府に差し出さなければならないということになります。

まとめ

今回は中国の知的財産権侵害について紹介しました。

アメリカも追い越されそうでプレッシャーを感じていますが、中国にも恐ろしい法律があります。

ぜひ、参考にしてみてください。

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