アメリカと中国は2021年にアメリカのアラスカで会談しました。
米中の覇権争いが加速し貿易戦争も規模が大きくなっています。
その中国とアメリカを比較してみると、どういう力関係になっているのでしょうか。また、貿易戦争の詳細はどのようになっているのでしょうか。
簡単にわかりやすく説明します。
中国とアメリカの比較
中国とアメリカの規模について以下の観点で比較します。
- 面積
- 軍事力
- GDP
詳しくみてみましょう。
中国とアメリカの面積はどっちが大きい?
外務省ホームページによると、中国よりアメリカの方が面積が大きいです。
マカオが30キロ平方メートルなので、およそマカオ1万個ほどの違いがあります。
国 | 面積 |
---|---|
アメリカ合衆国 | 約983万キロ平方メートル |
中華人民共和国 | 約960万キロ平方メートル |
中国とアメリカの軍事力の比較
グローバル・ファイヤーパワー(Global Firepower)によると、2019年で中国は軍事指数は0.0673で世界3位、アメリカは0.0615で世界第1位です。
軍事力評価指数は、人口や兵力、兵器数、国防予算など48の項目から計算されて、0に近いほど軍事力が高いことを意味します。
アメリカ合衆国 | 中華人民共和国 | |
---|---|---|
軍事力指数 | 0.0615 | 0.0673 |
兵隊数 | 約214万 | 約270万 |
戦闘機数 | 2632 | 1222 |
軍事予算 | 7160億ドル | 2240億ドル |
また、専門家の間では中国ではAIなどの最新テクノロジーを使った兵器が導入されており、アメリカを部分的に上回っているとも言われています。
そのため、アメリカが優位さを保ったまま軍拡がエスカレートする可能性が高いです。
中国とアメリカのGDPの成長率推移と比較
2020年時点では、中国のGDPはアメリカの70%ほどでした。
中国は1978年に改革開放を行ったことで、経済成長をしていきます。そして、200年代から大きく急成長することになり、2010年に日本のGDPを抜くのでした。
GDP推移の表(単位は10億USドル)は以下のようになっています。
年 | アメリカ | 中国 |
---|---|---|
1980 | 2857.33 | 303.03 |
1981 | 3207.03 | 288.73 |
1982 | 3343.8 | 284.61 |
1983 | 3634.03 | 305.43 |
1984 | 4037.65 | 314.22 |
1985 | 4339 | 310.15 |
1986 | 4579.63 | 300.92 |
1987 | 4855.25 | 327.72 |
1988 | 5236.43 | 408.65 |
1989 | 5641.6 | 458.17 |
1990 | 5963.13 | 396.58 |
1991 | 6,158.13 | 413.22 |
1992 | 6520.33 | 492.16 |
1993 | 6858.55 | 617.43 |
1994 | 7287.25 | 561.69 |
1995 | 7639.75 | 731.02 |
1996 | 8073.13 | 860.48 |
1997 | 8577.55 | 957.99 |
1998 | 9062.83 | 1024.17 |
1999 | 9630.7 | 1088.34 |
2000 | 10252.35 | 1205.52 |
2001 | 10581.83 | 1333.67 |
2002 | 10936.45 | 1465.84 |
2003 | 11458.25 | 1656.95 |
2004 | 12213.73 | 1949.49 |
2005 | 13036.63 | 2290.09 |
2006 | 13814.6 | 2754.11 |
2007 | 14451.88 | 3555.68 |
2008 | 14712.83 | 4577.4 |
2009 | 14448.93 | 5088.99 |
2010 | 14992.05 | 6033.81 |
2011 | 15542.6 | 7492.26 |
2012 | 16197.05 | 8539.47 |
2013 | 16784.83 | 9625.04 |
2014 | 17527.28 | 10524.21 |
2015 | 18238.3 | 11113.53 |
2016 | 18745.1 | 11227.08 |
2017 | 19542.98 | 12265.32 |
2018 | 20611.88 | 13841.9 |
2019 | 21433.23 | 14731.81 |
2020 | 20807.27 | 15222.16 |
中国とアメリカのGDP予測!いつ逆転?
中国はアメリカを2033年に抜いて世界第一位の経済大国になると言われ続けてきましたが、2020年にその傾向が変わりました。英シンクタンク「経済ビジネス・リサーチ・センター」によると、2028年までにアメリカを抜くだろうと言われています。
なぜ、GDP逆転が早まったのかと言うと、新型コロナウイルスの対応状況が原因です。アメリカで多数の死者を出し、アメリカ国内でもその他の問題と結びついて大きな社会的混乱を招きました。
しかし、中国では新型コロナウイルスをいち早く封じ込めて、経済へのダメージを最小限に食い止めました。
G20の中で、新型コロナウイルスが猛威を振るった2020年にGDP成長率がプラスへ転じたのは中国だけです。中国は1.6%のプラス成長、アメリカは-3.8%の成長率でした。
中国とアメリカの貿易戦争
中国とアメリカは2018年から貿易戦争(関税戦争)に突入しています。
2018年に当時のトランプ米大統領が、中国製の鉄鋼製品に25%の関税をかけました。ちなみに関税をかけると、中国からアメリカに製品を輸入するアメリカ人がお金を払わなければなりません。
なぜ貿易戦争は始まったのか
アメリカは4000億ドルほどの対中貿易赤字がありました。
2019年時点でアメリカの中国からの輸入額は約5000億ドルですが、輸出額は約1000億ドルした。
また、トランプ元大統領が関税をかけた裏には、製品代に加えて関税料金のかかる中国製品を購入するよりも、アメリカの国内で製品を製造した方が安上がりになるだろうという思惑もありました。
そして、アメリカに工場を造って、雇用を増やそうと考えました。
一方で、貿易問題とは別に「中国に追い抜かれる」「中国がアメリカの技術を盗んでいる」という危機感もあって、それに火がついたのもあって貿易戦争に発展したのです。
ちなみに技術の問題は貿易からファーウェイ問題に発展します。
関税の流れと対象となった品目リスト
トランプは高い関税をかけて中国を脅せば、向こうは折れるだろうと思っていましたが、中国は徹底的に対抗してきます。
約3ヶ月で、アメリカは中国からの輸入品の約50%、中国はアメリカからの輸入品約70%に関税をかけます。そして、2018年のアルゼンチンで開かれたG20で米中首脳会談があり、貿易戦争は休戦へ向かいます。
日時 | アメリカ合衆国 | 中華人民共和国 |
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2018年7月 | ロボットなど約800品目(340億ドル相当)に関税25% | 大豆など約500品目(340億ドル相当)に関税25% |
2018年8月 | 半導体など約300品目(160億ドル相当)に関税25% | 自動車など約300品目(160億ドル相当)に関税25% |
2018年9月 | 家具家電など約5700品目(2000億ドル相当)に関税10% | 液化天然ガスなど約5200品目(600億ドル相当)に関税5%から10% |
2019年に泥沼化して再び休戦へ
2019年5月にアメリカと中国は貿易協議を行いますが、合意にはいたりませんでした。その結果、アメリカは2000億ドル分の関税を10%から25%に引き上げます。また、この頃に「安全保障上の脅威」としてファーウェイ製品の輸入を禁止します。
一方の中国は2019年6月に600億ドルの関税を最大25%引き揚げ、その後、レアアースの輸出管理を強化することを決定します。中国はレアアースの主要供給国で、ハイテク製品の製造にはレアアースが不可欠です。
そして、2019年12月に貿易交渉がひとまずの合意にいたり、アメリカは中国からの製品の関税の引き下げを発表します。
しかし、今後も他の分野の問題を巻き込みながら再加熱する恐れがあるので、長い期間で見るのが大切です。
中国とアメリカの貿易戦争が日本に及ぼす影響は?
米中貿易戦争は日本にも影響を及ぼしています。また、有事の円ということで、安心した日本円に買いが入って円高になります。
日本の貿易輸出を見てみると、アメリカが20%、中国が20%で日本の貿易相手の40%が米中です。つまり、日本の重要な貿易相手国です。
また、日本の基幹産業は自動車であり生産の拠点の多くは中国です。そして、自動車産業はアメリカに対する輸出額が大きいため大きなダメージを受けます。
それ以外にも、日本から半導体や電子部品など中国に輸出しており、それが中国でスマートフォンとして組み立てられて世界中に出荷されています。このあたりの影響を受けます。
一方で、米中貿易戦争が激化して得をする日本企業もあります。
たとえば、大豆の価格が関税の掛け合いで下落すると、味の素などは原料のコストを減らすことができます。
まとめ
今回はアメリカと中国についてご紹介しました。
面積や軍事力、GDPで拮抗するようになってきたアメリカと中国ですが、経済分野では泥沼の関税合戦を行いました。
今後も世界情勢は米中の経済で揺れるでしょう。
ぜひ、この記事を参考にしてみてください。